2016年版の志願者トップは近畿大学で、3年連続の日本一となった。今年の志願者は11万9915人となり、昨年より5.5%増加。4年連続の志願者増だ。10年前は10位にとどまっていたが、10年間で志願者は倍以上に伸びた。躍進が続く近畿大だが、その大きな理由に高い改革力があげられる。近年、学部新設を積極的に行ってきており、2010年に総合社会学部、2011年に建築学部を設置、今年は語学教育で評価の高いベルリッツとタイアップして、国際学部を新設し人気を集めた。さらに2020年の完成を目指し東大阪キャンパスの大規模整備を進める。地上11階建てのタワー校舎や図書館などを建設する。
なかでも2400席を確保するという24時間オープンの自習室の設置は他の大学でも例を見ないスケールだ。今の高校生は家で勉強せず、図書館、学校や塾、予備校などの自習室、教室などで勉強するのが主流となっている。しかし大学にはあまり自習室が用意されておらず、大学に進学すると学習スタイルが変わってしまう。それを今の高校生のライフスタイルにあわせようというのが狙いだ。
2位明大、3位早大、法大が初の10万人超え
また、研究力の高さにも注目が集まる。クロマグロの完全養殖、ウナギ味のナマズの開発など水産研究所の研究成果を、受験生や保護者にわかりやすく伝えたことで注目度が高まった。オープンキャンパスでは試食会も行い長蛇の列だ。このあたりは広報力の高さともいえるだろう。卒業生のつんく♂がプロデュースする入学式も話題になっている。
入試の面では、日本で初めて完全ネット出願に切り替えた。来年からは早稲田大学、慶應義塾大学、立教大学もネット出願のみに替わり、今後の出願はネットが主流になることは間違いない。近畿大学の複合的に進められてきた受験生目線の改革が、志願者増に結びついていると見られる。
2位は明治大学だ。2年連続して志願者が増加、10年前と比べても28.4%の増だ。3位の早稲田大学は9年ぶりに志願者が増加した。18位の慶應義塾大学も志願者が増加しており、ある予備校の入試担当者は「今年から東大が後期試験を廃止して推薦入試を実施したため、併願校として狙われたのでは」と分析する。
また、今年は志願者が10万人を超えた大学が5校となった。これはここ30年で初めてのことだ。私立大人気に加えて受験生の志望校の分散化も進んでいるといえるだろう。その一つ4位の日本大学は1万185人増で10万人超となった。危機管理、スポーツ科学の2学部を都心の新キャンパスに設置したことが大きい。5位の法政大学は初めて10万人を突破した。6位の立命館大学は、大阪いばらきキャンパスに総合心理学部を新設したが人気となり、志願者増に結びついたと見られる。
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