大学生の就職状況は、売り手市場が続いている。大学通信は毎年、医学部と歯学部の単科大学を除く全大学に就職状況アンケートを実施している。今年は現段階で566校から回答を得た。
「実就職率」は大学院進学者を除いて算出
一般的に就職率というのは、就職者数を就職希望者数で割って算出したものだ。政府もこの就職率を統計数字として使っている。しかし、これだと就職希望者が卒業生数よりはるかに少ない場合など、実態を反映しているとは言い難いケースが出てくる。
そこで「実就職率」として、就職者数÷(卒業生数-大学院進学者数)×100で算出したデータを使い、その中で卒業生数が100人以上で、実就職率が高い順に並べた。
実就職率は全体平均で86.6%となり、前年を2.2ポイント上回った。2008年秋に起きたリーマンショックが、企業の採用にもっとも影響したのは2010年だ。就職氷河期といわれたこの年、大学生の実就職率は73.3%まで落ち込んだが、徐々に回復してきた。
2016年春の卒業生は就活スケジュールの変更に混乱した世代でもある。経団連の「採用選考に関する指針」によると、企業の採用活動に関する広報解禁が前年までの3年生の12月から3月に変更された。面接などの選考は4月から8月へ後ろ倒しになった。就活による学業への影響をできるだけ小さくしようとの狙いだった。
しかし、現実には経団連に加盟しない企業などが早めに内定を出し、8月を待たずに内定を獲得する学生が増えた。そのため、重複内定を獲得する学生も多く、企業側からのオワハラ(就活終われハラストメント)が大きな問題にもなった。企業としては早く就活を終わらせてもらい、入社を決めてほしいのだ。売り手市場で、学生を早く獲得したい焦りもあったと見られる。
就活に詳しい専門家は「昔は大手、準大手、中堅、中小の順に内定を出していましたが、期間が短縮されて一斉に内定を出すようになり、企業もダメなら次の手を打てるのに、学生が態度をはっきりしないため、オワハラが起きている面もあります」と指摘する。
こういった厳しい就活スケジュールの中で就職を決めた学生の割合が多かった大学はいったいどこなのか。大学別の実就職率ランキングで、「本当に就職率が高かった大学」とその傾向を見ていこう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら