トップは豊田工業大学と大阪総合保育大学で、ともに実就職率は100%だ。大学院進学者を除く卒業生全員が就職した。これを果たせた要因のひとつは、卒業生数がそれぞれ128人、122人と小規模な大学だったこともある。小規模な大学では教職員と学生の距離が近く、学生に目が行き届き、就職指導を綿密に行えることから就職率が高くなる。
豊田工業大はトヨタ自動車が設置した大学だ。工学部のみの単科大で、就職先はトヨタ自動車だけでなく、有名企業にも広く就職している。年間の授業料は60万円ほどで、私立大理工系の平均授業料から40万円ほど下回っている。同じくトップの大阪総合保育大は児童保育学部の単科大で、教員や保育士を養成している大学だ。
看護大が上位、大規模大は工業系が強い
3位は工学部単科大の富山県立大学で実就職率は99.6%。4位は保健科学部単科大学の群馬パース大学(同99.2%)となっている。5位は看護学部単科大の四日市看護医療大学(同99.1%)、6位は同じく看護学部単科大の日本赤十字看護大学(同98.9%)、7位は薬学部単科大の京都薬科大学(同98.6%)だった。京都薬科大の薬学部は6年制の薬学科だけが設けられている。
例年と変わらず、今年も医療系や工学系の大学が上位に来ており、しかも単科大で卒業生数が少ないのが特徴だ。最近は資格と直結している学部をもつ大学が上位に来る傾向がある。ただ資格には適性が求められ、生涯にわたって職業にしていくことが前提。受験の時にはしっかり考慮する必要があるだろう。
卒業生数が1000人以上の大学で見ると、全体では20位の福井大学(同96.8%)がトップだ。卒業生数1000人以上の国立大では8年連続のトップとなった。同大学はきめ細かい就職指導に定評がある。新卒者の在職3年以内の離職率は、全国平均の31%をはるかに下回る7.1%だという。今年、国際地域学部を新設し、今後の就職状況にも注目が集まる。
卒業生数が1000人以上の実就職率で福井大に次ぐのが、30位の金沢工業大学(同96.5%)で、以下33位の愛知工業大学(同96.4%)、34位の日本福祉大学(同96.3%)、41位の芝浦工業大学(同95.9%)、42位の九州工業大学(同95.8%)、44位の大阪工業大学(同95.7%)と続く。工業系大学が強いのが特徴だ。さらに規模の大きい卒業生3000人以上の大学に絞ると、ベスト100に入っているのは、58位の東京理科大学(同95.1%)のみとなる。
工学系大学が強い理由は、採用数の多いメーカーの就職希望者が多いことが大きな理由だ。さらに実験、実習が多く、学生が大学に来ている割合が高いため、就職指導をしやすいことも大きい。
次に就職に強いといわれる女子大の実就職率を見てみよう。トップは24位の岐阜女子大学(同96.7%)だ。卒業生数1000人以上の大規模女子大では、全体で83位の昭和女子大学(同94.3%)がトップとなる。同大学は人間文化、グローバルビジネス、人間社会、生活科の4学部を擁しているが、来春には新しく国際学部を開設する予定だ。
ここ数年、大学受験生の傾向として、将来の進路を考えながら大学、学部を選ぶようになっている。就職実績は重要な大学選びの要素のひとつで、実就職率が志願者数に直結するようになってきている。それだけに各大学とも就職指導には力が入る。大学がどこまで就職の面倒を見てくれるのかが、大学の浮沈を握るカギになってきているともいえよう。
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