TPP交渉7月参加へ、進む地ならし

一部農家は早くも「TPP後」をにらむ

大幅譲歩で評価は二分

2月のオバマ大統領との首脳会談、3月のTPP交渉参加表明に続き、安倍政権は着実にTPP参加に向けたステップを踏んでいる。しかし、関心の高い農業分野については「日本には一定の農産品というセンシティビティ(聖域)がある」と繰り返すにとどまっている。

16日に開催された自由民主党の会議では「(TPP交渉に参加する)入り口で譲りすぎたのではないか」「農業を守るカードを失ったのではないか」と日米協議の結果を非難する声が上がる一方、「日本の経済産業省は(交渉の)カードをたくさん持っている。日本の交渉はそんなにヤワではない」(西川公也・自民党TPP対策委員長)と評価が分かれた。

TPP問題を担当する甘利明経済再生担当相は12日の記者会見で、「高い入場料(TPP交渉に参加するための代償)を払ったのではないか」と問われ、「もうちょっと、という部分もなきにしもあらずだが、許容範囲ではないか」と述べている。

当初4カ国で始まったTPPに米国が参加したのは2009年。今後の交渉次第という側面もあるが、交渉参加に遅れたことで、日本の「入場料」が高くついた点は否めない。

では、今後の交渉はどうなるのか。各分野で具体的に何が論点になるのか、交渉参加できていない現在、実は詳細はよくわかっていない。

ただ政治的に最大の焦点となるのはやはり農業分野だ。政府が3月に公表した影響試算によると、現在約7.1兆円ある農業生産額が、コメや豚肉、牛肉を中心に3兆円程度減少すると推計されている。海外の安い農産物が国内産の割高な農産物と置き換わり、その分、国内生産が落ち込むことが主因だ。

JA全中(全国農業協同組合中央会)は「到底納得できない。断固反対の運動を徹底的に展開していく」との姿勢を崩さない。しかし、農業界も一枚岩ではなく、「TPPへの参加は、高齢化・担い手不足対策など、農業の構造改革を進める契機になる」という声が漏れてくる。

農業と一口に言っても、聖域とされる5分野(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖)によって、取り巻く経営環境や経営効率化の進展度合いは大きく異なる。

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