※過去のインタビューはこちら:
――これからの日米関係を語るにあたり、カギとなるのは中国です。
それは重要なポイントだ。中国は、軍事面でも、そのほかの面でも、アジア地域における影響力を拡大しようとしている。その結果として、もし日本が脅威にさらされることになれば、米国は断固として同盟国を防衛することができるし、またそうすべきだ、と私は考える。
民主党政権時に、日米関係がぎくしゃくすることは多かった。その一部は、日米双方に同盟関係を維持するうえでの不手際があったことが原因だった。沖縄の基地問題の取り扱いがその好例と言える。
民主党は、外交政策や東アジア共同体についてのビジョンについて説明するのが極めて下手だった。もし民主党の声明文を注意深く検討し、その真意を問いただしていれば、その考え方は米国が目指すものと相いれないものではないことは明白だった。アジア・太平洋地域の重視を打ち出したオバマ政権の外交政策と、民主党および鳩山由紀夫元首相の構想との間には、大した違いはなかった。
米国は「民主党=親中」と読み違えた
民主党の真意は、「親中」政策ではなかった。民主党が意図していた政策は、複数の地域機構の中に中国を取り込むことによって、中国の台頭に対処しようとするものだった。ともかく鳩山氏は、アジアの他の国々との関係を積極的に改善しようとしていた。念頭に置いていたのはインド、それに一定の範囲で韓国だ。続いて首相に就任した菅直人氏も、ある程度その方針を引き継いだ。もしチャンスがあったなら、民主党はロシアとの関係も大きく前進させるよう努めていただろう。
これは要するに、中国に対する一種の「擬似封じ込め政策」だった。ただし従来の意味での封じ込めではない。中国を取り囲む国々が協力関係を構築することによって、一方的に力を誇示しようとする中国を抑えるという政策だ。
この目標は間違っていない。これはTPPだけではなく東アジアサミットへの参加など、米国がこれまでやってきた政策と整合している。
民主党とは実りの多き対話もできたはずだ。ところが民主党は自らの考えをうまく説明してこなかった。そして米国側は、民主党は親中だと読み違えた。
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