韓国・新大統領は「親日」か「反日」か 朴槿恵新政権とのつきあい方
12月19日に行われた韓国の大統領選挙で、与党セヌリ党の朴槿恵(パク・グネ)候補(60)が、最大野党・民主統合党の文在寅候補(59)に100万票以上の差をつけて勝利。大接戦とされた選挙戦をものにした。韓国の大統領は1期5年で再選はない。正式就任は2013年の2月25日だ。
最新のレポートに加え、新政権が抱える課題などについて、慶應義塾大学の西野純也准教授、静岡県立大の小針進教授、神戸大学の木村幹教授に話を聞いた。
盧武鉉時代の失敗、今なお国民の記憶に
「経済民主化」が最大争点となった今回の選挙。経済民主化とは、肥大化する財閥への改革と「両極化」と言われる世代間格差、所得格差をどう解消し、市民生活の改善をどう行うかが争点となった。これには、サムスングループをはじめ一部大企業の業績が好調なことに加え、G20に参加・サミットを開催できるほど国際的立場が高まった割りには、一般国民の生活が改善されないという、内政問題が焦点となった。
特に、現在の李明博政権が財閥フレンドリーな経済政策を展開したことで、反財閥感情が高潮。一方、大学新卒をはじめ若者層の失業問題や高齢化社会への不安という、アンバランスな問題をどう解消していくかが、両候補を見極める基準となった。
選挙戦全体では、朴槿恵候補がわずかにリードを維持する流れが継続。選挙戦直前になって「文候補有利」との指摘も出されたが、結果的に朴槿恵候補が勝利を収めた。
文候補はかつての2003~08年の盧武鉉大統領の盟友で、左翼的な性格を帯びる「進歩」派の代表。対する朴槿恵候補は、故・朴正煕大統領の長女ということで、旧時代の対立とも言われた。
だが、結果的には「漢江の奇跡」と言われる経済成長を成し遂げながらも独裁者として民主化運動を弾圧した朴正煕時代よりも、リーダーシップの欠如で社会的混乱を招いた盧武鉉時代の記憶が新しく、それを国民が嫌ったという結果ともいえるだろう。
朴槿恵氏は母亡き後、朴大統領のファーストレディ役を務めた経験から、海外での交友関係も深い。日本にも多くの知人がいるが、だからといって日本への政治・外交的対応が穏健だと見ることはできない。
日本との親密な関係があった朴大統領の娘ということで、「親日派の娘」と見られることもよくある。だからこそ、従軍慰安婦問題や竹島問題など、時に「聞く耳を持たない」状態になる韓国世論を無視することはできない。日本への対応は、これまでとそれほど変わらないと言えそうだ。
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