※ 関連インタビューはこちら:
ダニエル・スナイダー(上):アメリカは「安倍外交」を歓迎するのか?
ダニエル・スナイダー(下):アメリカは「対等な日米関係」に興味なし
――オバマ大統領にとって、安倍首相との会談の目的は何でしょうか?
オバマ政権は、日米同盟をどこまで「強化」できるかを、見極めたいと思っている。日本では近ごろ浮上しているもろもろの問題を、「民主党の問題」だと言って済ませる傾向がある。しかし私は、それは違うと思う。
日本の政治は構造的な変革の途上にある。日本の政府は、現在の安倍政権も含めて、課題に取り組めるのは「次の選挙が終わってからだ」と言って問題を先送りにしてきた。これは特定の党だけの問題ではない。この厄介な構造的問題は、リベラル派の民主党政権にも、保守派の自民党政権にも共通している。
オバマ政権は日米同盟を堅持したいと考えている。しかし米国政府は、現実主義の傾向を強めており、どれだけ迅速に、どの程度の成果を上げることができるかを重視している。この現実主義は、民主党政権時代に始まったが、自民党が政権に復帰した今も変わらない。
最近は株価や内閣支持率が上昇するなど、安倍政権には明るい兆しが見えている。米国政府もそのことは知ってはいるものの、相変わらずあまり期待していないのが現状だ。
――米国政府は、集団的自衛権、対中関係、歴史問題などに関する安倍首相の考えを、どう評価しているのでしょうか。
米国政府には、ブッシュ政権当時から引き続き政権内部にいて安倍首相を知っている人もいるが、オバマ政権には、安倍首相を知るための時間が必要だ。安倍首相については、政権復帰を果たした元首相としてではなく、発足したばかりの新内閣を率いる人物として対処するのがベストだ。そのように対処していけば、米国政府は、歴史問題、集団的自衛、その他の課題に関する安倍氏の考え方について、感触をつかめるようになる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら