安倍首相および安倍内閣の一部の閣僚が、極めて明瞭な個人的見解の持ち主であることは、よく知られている。しかし米国政府関係者は、彼らが政府としての仕事をどう進め、具体的な政策が浮上した際にどう判断するのか、成り行きを見守ろうとしている。
東アジアの戦略的環境を考えると、特につい先頃、北朝鮮が核実験を実施したばかりの状況を考えると、日韓両国は幅広い友好関係構築の方向へと進まないわけにはいかない。それは日本にとって戦略上大いに利益となり、またこれと同程度に、日米同盟強化にとっても重要だ。
TPP参加は、参院選勝利が条件
――今のところ、安倍首相はTPP(環太平洋経済連携協定)への参加を明言していません。最終的に日本は、TPP交渉に参加すると見ていますか。
民主党も自民党も、直面する問題は同じだ。それは、日本の農業をどうするのか、という問題だ。日本の首相は、政治資源を投入して農業改革を推進することについて、どの程度の意欲があるのか、経済競争力を高めるための手段としてTPPを活用することにどれくらい積極的なのか、が試されている。
米国は、TPPへの日本の参加を必要としている。日本が参加することによって、TPPの力が大いに強まるからだ。ところが日本が本格的に参加するには、かなり迅速に動く必要がある。今のところ、交渉は日本の意見をいっさい聞くことなく進行している。つまるところ、日本は開かれた市場・競争に前向きに取り組もうとしているのか、それとも相変わらずの、のらりくらりに固執しているのか、という問題に行き着く。
現実には、TPPに参加するには、安倍氏は7月の参議院選挙で大勝利を収めねばならないだろう。しかもそのうえで、自らが率いる自民党国会議員のうち多数の賛同を取り付けねばならない。党内の合意形成は、参議院選挙が終わるまでは手を付けられないだろう。自民党の国会議員の中に、TPPへの参加に賛同するという公約を掲げて選挙運動を戦おうという人は少ないのだから。
TPPの交渉は今年中に終えることになっているので、日本はこれまでの遅れを取り戻し、最終結果に影響を与えることができなくなってしまう。
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