なぜ「防衛計画の大綱」を見直すのか
安倍氏が「集団的自衛」に言及する場合いったいどういう意味で言っているのか、について米国政府内で議論がなされている。安倍氏は選挙演説で、「憲法改正」や「集団的自衛に関する解釈の見直し」に言及していた。米政権は、それが選挙用スローガンの域を出て、国防の基本方針、米軍と自衛隊との協働、それぞれの役割や使命にどんな意味を持つことになるのか、実際上の細かな点にまで掘り下げて把握しようとしている。
安倍氏の政策が何を目指しているのか、米国政府はもっと具体的に知りたいと思っている。たとえば、小野寺五典防衛大臣が、現行の「防衛計画の大綱」の見直しを検討している、と述べたのを聞いて、米国政府内にいる者の多くが、「なぜだ? 今の『防衛計画の大綱』に盛り込まれた『動的防衛力』(注:安全保障環境の変化などを受けて、「運用」に焦点を当てた防衛力を実現しようとする考え方。詳しくはこちら)政策のいったいどこが問題なのだ?」と疑問を持った。
米国政府の感触としては、これらの問題について政治的な色彩が薄まり、具体的な詳細がもっと明らかになることを願っている。
また、広くは「歴史」問題、とりわけ「慰安婦」問題がある。安倍氏はこの問題にどう対処するのだろうか。村山談話はそのままにしておいて、新たな談話を発表しようとしているのだろうか。首相が何を意図しているのかについては、とりわけ日韓関係に関して、まだまだ大きな疑問がある。実際には、戦時中の日本の行動についての歴史が問われているのではない。課題となるのは、現実的に見た日本と韓国の2国間関係の発展可能性だ。
安倍氏が韓国にどう働きかけようとするのか、その取り組みに注目が集まっている。これは戦略レベルに限った話ではなく、実際には、和解と友好関係構築に向けたより幅広い動きが期待されている。この点において、安倍氏および安倍内閣の一部閣僚の個人としての見解は、非常に重要な要素となる。
米国政府関係者は、「安倍氏が韓国の新大統領就任式に出席するか」「間近に迫る”竹島の日”にどう対処するのか」「下村博文文部科学大臣が教科書改訂をどう取り扱うのか」など、日韓関係に影響を与えうる問題に注目している。
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