“日本化”する、90年代生まれの中国男子 日本の「ゆとり社員」とそっくりな新人類

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たとえば、先日、わが社の新入社員で22歳の90後が、上海随一のクラブの1室を借り切って、自分の誕生日会を開きました。特注のケーキをふるまったり、大きなウイスキーのボトルを注文したりするので、われわれ経営陣は彼が支払えないのではないかとヒヤヒヤしていました。しかし、彼はいつの間にか会計を済ませて、さっと帰っていきました。その日の代金は彼の1カ月分の給料を超えていたと思います。おそらく、彼が親からもらったお小遣いで支払ったのでしょう。

90後の若者は海外旅行にもしょっちゅう出掛け、毎回、親に数万円のプレゼントを買って帰ります。日本に旅行したときに人気のおみやげは、1万円程度の日本製電動歯ブラシです。そのおカネの出所は結局、親なのですが……。日本の新卒の社会人が海外旅行で、毎回、親に高価なおみやげを買う人はあまりいないのではないでしょうか。面白いことに90後の親が海外旅行をしても、このような高価なものを自分のために買ったりしません。やはり実際の所得よりも、金銭的な感覚のほうが消費行動に影響を与えていると思います。

日本のゆとり社員と似ている

また、90後はキャリアに対する感覚も80後とは全然違います。70後から80後の世代に見られた強烈なハングリー精神があまり感じられないのです。

私の友人が上海の大きな外資系企業に勤めており、この5年間、毎年インターンを採用しているのですが、80後のインターンは今も全員残っているのに、90後のインターンは半数以下しか残っていないと言います。しかも、辞める理由が情けない。「マルチタスキングに耐え切れず、体調を崩した」「人生について悩み、自信が持てなくなったので親元に帰りたい」などと言う。80後以前の世代なら、上海の大きな外資系企業にインターンで入ったら、頑張っておカネを稼ぎ、ゆくゆくは親を上海に連れてこようと考えたものです。

せっかく海外に留学しても、外国でチャレンジしたくないといって中国に戻ってくる90後も増えています。これも昔なら、たとえば日本に留学したら、おカネをガンガン稼いで両親を呼びたいと考えたものでした。

90後は給料や福利厚生以外に、仕事の内容が好みであるかどうか、会社の雰囲気や仕事の自由度を非常に重視します。

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