日本人はフォーマルすぎるところがあります。フォーマルなのはすばらしいことですが、時には少しフォーマルを崩したほうが良いときもあります。ユーモアとジョークも大切なのです。
ジョークを言うには、文化の理解も必要
――ユーモアとジョークは日本人が苦手なところですね。
エルガザーリ公使:日本人でもユーモアのセンスがある方がいらっしゃいますよ。以前、自由民主党の外務副大臣の方でスーダンに来られた方がいて、その方はすばらしかったです。堅い雰囲気をとても上手に崩せる人でした。
彼の何が人を引き付けたのか考えてみると、話す言葉に情熱がこもっており、心と心に響くものだったからだと思います。そしてスーダンのことを知り、スーダンと仲良くしようとされていました。
たとえば、その方は帰国の際、ホテルを出るときから飛行機に乗るときまでずっとジャラビーヤを着続けたのです。みんな、彼のことは”Friend of Sudan”だと思っていました。堅い雰囲気から少し抜け出して、カジュアルになったほうがいいときもあります。
ジョークと言えば、こんなこともありました。スーダン政府の高官が、日本の自動車会社に視察に来たときのことです。その打ち合わせの際、「お土産は何がいいですか?」と聞かれたので、「1人にはランドクルーザーを、次の人にはカムリー、3番目の人にはカローラ….」と言ったのです。もちろん冗談です(笑)。ですが、その方はまじめに受け取って「できません」とも言わずただじっと黙って考え、「どうやって持って来てプレゼントしましょう……」とおっしゃったのです。
――そこは笑うところでしょう。まじめすぎましたね。
エルガザーリ公使:私としては、ちゃんとその会社のことを知っていることも伝えたくて冗談を言ったのですが、申し訳ないことをしました。スーダンではよくあるジョークなので、きっと自動車会社の人がスーダンに来たら「いつ車をくれるんだい?」ぐらいのことは、会う人ごとに言われます。そのときには「今度オフィスに来たららね」とかわしておけばいいのです。
ほかには、ミーティングをホテルで行うときなどは「おいしい料理を用意してね」と言われたりします。そのときにも「わかった!」と言っておき、もちろん準備しません。ホテルのランチは高くつきますからね(笑)。それがスーダンのジョークの暗黙の了解です。
ただ、ジョークと言っても文化の違いによって笑えないジョークもありますから、ジョークを言うためには文化をよく知らなければいけません。
そうそう、話の中で親近感を感じるためには、相手の名前を覚えて、会話の中で言うことも大切です。例えば「真紀子さん、どう思いますか?」などといった感じに。スーダンではすべて、名前で人を呼びます。苗字では呼びません。というより、スーダンでは苗字を重視しないのです。
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