ですが、学業に関係ないものの持ち込みは一切禁止しています。マンガはもちろん持ち込み禁止です。携帯電話も原則禁止です。申請して認められたら持ち込みを許可していますが、学校にいる間は原則、小さな袋に入れてカバンの中で保管することを義務づけていますし、試験中に携帯電話が鳴ったら、その教科はゼロ点。あとは、茶髪もパーマも禁止です。「躾(しつけ)」という漢字は「身」が「美しい」で成り立っている、という話をよく生徒にはしています。
「宗教」の時間で生徒は何を学ぶか
――や、やっぱり結構厳しくないですか!?
昔は、髪型は三つ編みのみを許可するという制度だったので、それに比べれば少し緩くなったと思います。しゃくし定規な校則で縛りつけても、生徒の自主性は育まれません。ですから、「雙葉生らしくあること」が校則の前提にあります。生徒には自ら「雙葉生らしさとはなにか」を熟考してもらいたいのです。
一言で「雙葉生らしさ」を定義するのは難しいですね。一例としては、カリキュラムに取り込んでいる宗教という授業があります。雙葉はカトリックなので、聖書をバックボーンに据えた授業ですが、ただ単に聖書を読んでいくわけではありません。環境問題や貧困問題などの社会的な問題にまで立ち入って、レポートを書かせたり、生徒同士のディスカッションを行います。高校3年の最後の授業では「豊かな人生を送るためには何が必要か」というテーマでレポートを書きます。
こうした答えのない問題に、じっくりと時間を割いて取り組むことができるのが、私学のよさでしょう。特に宗教の授業のレポートは正解も不正解もありませんから、点数や成績などは一切つけません。
――女子生徒を育てるうえでの難しさを感じますか?
私は女子校の教員しかしたことがありませんから、男子生徒と比較ができませんが、強いて挙げるとすれば、「必要以上にナイーブな生徒がいる」というところでしょうか。女の子の思春期特有のことかと思いますが、受け止め方が極端な子がいます。少し注意したら「私はもう見放された……」といって落ち込んでしまうのです。あなたは男子校出身とおっしゃいましたよね? 男子校ではどうでしたか?