アマゾンと楽天、「読み放題」の勢いは続くか 使い勝手、品ぞろえでユーザー離れの恐れも
アマゾン・ドット・コムと楽天。国内EC市場で覇権を争うライバルの2社が、電子書籍分野でも激しく火花を散らしている。新たな戦場となっているのは、読み放題サービスだ。
アマゾン日本法人が電子書籍の定額読み放題サービス「キンドル・アンリミテッド」を開始したのは8月3日。対抗するかのように、楽天も1週間遅れで雑誌にジャンルを絞った定額読み放題の「楽天マガジン」を開始したのだ。アマゾンと楽天は、2012年に相次いで電子書籍の国内配信を開始して以来、しのぎを削ってきた。ただ、これまでは漫画や小説など個別の作品の単品販売だけだった。
プライム会員向けに含まれない、独自サービス
アマゾンは電子書籍の読み放題以前から、定額制のコンテンツ提供サービスを展開してきた。年間3900円(税込み)のプライム会員向けに、2015年秋から動画見放題の「プライム・ビデオ」や、音楽聴き放題の「プライム・ミュージック」を追加料金なしで提供。ECの枠を超えた利便性の提供をテコに、顧客囲い込みを進めている。
しかし、新たに始めた「キンドル・アンリミテッド」は月額980円(税込み)と有料だ。対象となる書籍は和書13万冊、洋書130万冊以上と豊富で、書籍や漫画、雑誌や写真集などジャンルも幅広い。
書籍販売はアマゾンが日本での事業拡大の足掛かりにした分野で、注力分野であることは電子書籍でも同じ。品ぞろえの充実度からしても、有料会員事業に付随する動画や音楽のサービスと違って、単独で収益貢献が期待される事業だ。
だが、「キンドル・アンリミテッド」は開始直後に思わぬトラブルに陥った。アマゾン側の想定以上に利用が増えたために、1カ月後の9月初頭までに専門書や写真集といった比較的高額な本などが、読み放題の対象から相次ぎ外される事態となってしまったのだ。
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