アマゾンと楽天、「読み放題」の勢いは続くか 使い勝手、品ぞろえでユーザー離れの恐れも
一方、楽天の読み放題サービスは雑誌に限られるが、月額380円(税抜き)とアマゾンに比べて低価格。「ファッション」や「スポーツ・アウトドア」の娯楽や「ニュース・週刊誌」など硬軟取り混ぜた11ジャンルで約200種の雑誌をそろえた。
女性ファッション月刊誌の「CanCam(キャンキャン)」(小学館)や週刊誌「AERA(アエラ)」(朝日新聞出版)などの雑誌が読み放題の対象になる。サービス開始から約1カ月が経過したが、楽天の当初見込みを上回る契約数を得て、堅調に推移しているという。
楽天は2012年にカナダのコボ社買収を通じて電子書籍事業に参入したが、今回の読み放題サービスの場合、ECとの連携を視野に入れており、それが既存サービスとの大きな違いだ。たとえば、ファッション雑誌のバッグの紹介記事をタップすると、ECサイト「楽天市場」の購入ページに移動するといった電子雑誌とECとを紐付けたサービスをおよそ1年以内に開始する方針だ。
楽天にはさらに伸びしろがある?
ただ、楽天の既存の電子書籍サービスとの連携に関しては、改善の余地もありそうだ。楽天は総合電子書店の「コボ」に加えて、ジャンル特化の専門書店と位置づけて「楽天マガジン」「楽天マンガ」を展開しているが、現時点で楽天マガジンや楽天マンガとコボは連携していない。
そのため、たとえば楽天マガジンのサービス加入者が、「コボ」のアプリで読み放題対象の雑誌を読むといった利用ができない状況にある。楽天は今後、利便性向上の観点からサービス相互の連携について検討を進めるとしている。
スマートフォンの普及で閲覧できる環境が一般的になり、本格的な普及期に入ったと言えそうな電子書籍。読み放題という利用方法でアマゾンと楽天の大手2社が参入したことで、市場がさらに活性化するのは確実だ。
新たに乗り出した読み放題で、ともに好スタートを切ったアマゾンと楽天。ただし、月額課金は単品の電子書籍の購入に比べて割安感もあり、気軽に利用できる反面、利用者が飽きた場合のサービス離れも早そうだ。コンテンツの拡充など利用者をつなぎ止めるための施策を着実に続けていけるかが、事業を成功させる上でカギになるはずだ。
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