保育界の"改革野郎”、「日本」との戦い方 新世代リーダー フローレンス代表理事 駒崎弘樹

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官僚の方々は長年、何かの成功事例を見て、「こんなものかな」と制度化するというような“翻訳作業”を、自分たち自身の手でやろうとしてきた。でも、それで通用することばかりではない。現場、実務者と一緒になって制度を作るというスタンスに切りかえないと、本当に血の通った制度というのはできません。

2010年の1月から6月まで、内閣府でパートタイム官僚(非常勤国家公務員、政策調査員)をやってみて、その思いをさらに強くしましたね。

福祉に、成果は関係ないのか?

――そこで気づいた問題とは?

ひとつは補助のあり方です。与えられる補助金と成果が連動していないんです。たとえば先ほどの緊急サポートネットワーク事業では、子どもを10人預かっても500人預かっても、同じ額の補助金。つまり、子どもを預からないほうが儲かるんですよね。

そういうことを厚労省は平気でやっちゃうんです。それが福祉です。

――福祉と言えば済むって、すごいですね。

福祉だから成果は関係ないとか、市場的なやり方は福祉にはなじまないとか、いたるところで言われますが、本当にそうでしょうか。

そこで僕が提唱しているのは、病児保育にバウチャーを導入するやり方。現状のように(審査に通った)事業者だけに補助金が下りる仕組みだと、それ以外のところは参入できず、健全な競争が起きない。

フローレンスを使っても、他社を使ったとしても、1時間1000円分補助するという仕組みであれば、競争を阻害することなく、いろいろなプレーヤーが参入できますよね。

実際、渋谷区でそれを実現してくれました。こうしたことが国レベルでも起これば、病児保育に参入する団体は増えると思います。

現状、病児保育の分野では、フローレンスが単独でがんばっているような状況ですが、どんな地域に住んでいても、病児保育が当たり前の社会インフラとして提供されるというような社会を目指したいなと思っています。

そこでこの4月から、日本病児保育協会という財団を作り、専門学校さんと一緒に組んで、病児保育の民間資格を作ります。eラーニングで、全国どこにいても勉強できるようになります。病児保育をプロの仕事にしたい、職業として成立させたいという思いもあります。

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