保育界の"改革野郎”、「日本」との戦い方 新世代リーダー フローレンス代表理事 駒崎弘樹

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――そこまで言いますか。

政治というか、もっと考えたら経済、ビジネスのゲーム。内実はおカネの話なんです。単にビジネスとして、自分たちが脅かされないかと考えている人たちが、制度改革を阻んでいる。

いずれにせよ、待機児童が解消するというのは、マイナスをゼロにするという行為で、本来目指すべきところは、健常児でも障害児でも、貧しくとも富める者でも、どんな環境に生まれても良質な保育を受けられるという社会なんですよね。そのために、変えなきゃいけないところは、変えなきゃいけない。

――今、良質な保育とおっしゃいましたが、世間では保育は単なる子守りであって、誰にでもできる単純労働と思われている感じがありますね。

そこは大きな間違いです。OECDは、就学前教育は最も投資対効果の高い人材育成だと推奨しているし、ヘックマンというノーベル経済学者の研究では、乳幼児期の保育や教育が、犯罪率や生活保護率に大きく影響し、大きな社会的投資対効果を得られるということを証明しています。

声のかけ方ひとつ取っても、行為のダメと、その人格がダメというのを分離できない子どもに対して、否定語を使わないとか。こうした発達心理学に基づくノウハウや、ポジティブなアプローチが蓄積されているのが保育の現場です。人間の心の“OS”を作る時期なんだから、ナメていちゃだめなんだよと。特に高齢男性には、きちんと伝えていかないと。

――高齢男性、ですか。

はい、高齢男性の中には、「母親が子どもをみるのが当然」「保育園に預けるのはかわいそう」などと、根拠のない”オレ常識”を押し付けてくる方も多い。

もちろん親は子どもを見るけど、親だけで子供を育ててきたという時代はいまだかつて存在しない。戦後、1970年から1990年ぐらいに登場した専業主婦というのは、約4000年ぐらいの日本の歴史の中で、極めて特殊な存在です。それを伝統と言うのは、まったくの無知からくるものです。

こういうことを女性が言うと、ジェンダー差に回収されてしまうんですけど、そうじゃないんだと。子育てというのは男女いずれにとっても重要な次世代育成であり、コミットメントしなくてはいけないものなんだと。そういうことを男性の立場から言うことに、僕の言説の意味があるかなと思います。

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