成果を出す人は「緊張度」を使い分けている 銅メダル・卓球女子勝利のカギもそこにある

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ここまで読んでみて、あなたは、緊張度を高める・緩めるの、どちらをしたほうが仕事でより成果を出しやすいでしょうか?ちょっと、考えてみてください。

もしかしたら、長時間の残業を強いられ、締め切り直前のピリピリした状態で孤軍奮闘されている方がいるかもしれません。その場合は、「緊張度を緩める」ほうが、仕事で成果をだしやすくなります。

一方で、もしかしたら、毎日単調な作業の繰り返しで、ノルマもラクにこなせてしまいマンネリ化している方もいるかもしれません。その場合は、「緊張度を高める」ことで、仕事で成果を出しやすくなります。

ちょっとしたコツで調整できる

緊張を緩めたい人は、「1分間、目を閉じる」ことを試してみてください。目から何も情報が入らない1分間があるだけで、緊張を緩めることができます。なぜなら、人間の脳が視覚から得る情報の割合は83%という研究データがあるくらい、視覚を遮断すると脳への負担を減らせるからです。筆者が研修などで、この「目を閉じる」ルーティンを伝えたところ、目を閉じるだけで、脳からリラックスできたと話してくれた方も少なくありません。たった1分でも意外なほど効果があるのです。

一方、緊張を高めたい人は、「密着取材されている気になってみる」ことを試してみてください。実は、「見られている」という意識・人からの視線は、適度な緊張を与えるので人を成長させてくれます。パッとしないように見えたタレントさんが、人気とともにあか抜けてくる秘密も「この人すごい」という視線を集めていることにあるのです。

これを心理学では「ピグマリオン効果」といいます。ピグマリオン効果とは、「この人はすごい」という期待をかけられると、人は伸びて期待通りの成果を出すという傾向のこと。

これは、私たちビジネスパーソンにもあてはまります。「この人は仕事ができる」「この人はプロフェッショナルだ」という視線を集めることで、適度な緊張が生まれ、磨かれていくのです。そして、この「視線」はリアルでもなくてもバーチャルでもOKです。つまり、もしあなたが今、会社で期待されていなかったとしても、「ドキュメンタリー番組で密着取材されているつもり」「期待されているつもり」と考えるだけでも効果があります。

ぜひ自分にあった「適度な緊張」を把握して、日常生活で生かしてみてください。

大平 信孝 メンタルコーチ

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おおひら のぶたか

株式会社アンカリング・イノベーション代表取締役。メンタルコーチ。中央大学卒業。長野県出身。会社員時代、自身が部下育成に悩んだ経験から、脳科学とアドラー心理学を組み合わせた、独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発。部下育成のためのメソッド「行動イノベーション・トーク」を広めるべく、「行動イノベーションアカデミー」を運営。これまでサポートしてきた企業は、IT、通信教育、商社、医療、美容、小売りなど40以上の業種にわたる。主な著書に、『本気で変わりたい人の行動イノベーション』(秀和システム)、『先延ばしは1冊のノートでなくなる』(大和書房)、『指示待ち部下が自ら考え動き出す!』(かんき出版)など。

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大平 朝子 マネージャー・メンタルコーチ

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おおひら あさこ

国家公務員試験を主席合格。裁判所書記官として年間2,000件の記録を扱う中で、問題解決のある法則を発見し、独立。当時、無職だった夫、大平信孝をベストセラー作家にした手法が注目され、女性経営者など2,300人以上の問題解決に携わる。また、教育団体、女性団体、外国人リーダー向けに、研修を実施している。現在は、2人の息子の育児に加え、夫・プロコーチ大平信孝のスクールマネジメントも行なっている。ホームページ

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