喜劇役者が主役を演じるイタリアの悲劇 景気・経済観測(欧州)

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

連立協議がまとまった場合、市場はひとまず落ち着きを取り戻すとみられるが、政治リスクの払拭には時間がかかりそうだ。中道左派と中道右派の大連立、中道左派の少数派政権に五つ星運動が閣外協力、非政治家を首班とする暫定政権、どの組み合わせになったとしても、弱い連立・連携になることは確実で、短命政権に終わる可能性が高いうえ、政策の遂行能力は未知数で改革が後退するおそれが高まる。

イタリアは公的債務残高の対GDP比が2012年に120%超と、ユーロ域内でギリシャに次ぐ高債務国だ。ユーロ圏発足以降のイタリアの平均成長率はプラス0.4%にとどまり、これはユーロ導入国の中で最も低い。世界銀行によるビジネス環境のランキング調査によれば、イタリアは192カ国中で73位、先進国ではギリシャに次いで2番目に悪い順位に甘んじている。どの政党主導の政権が発足したとしても、財政再建と構造改革から逃れることはできない。

 イタリア発ユーロ離脱危機

五つ星運動がイタリアの政界での発言権を強めることで懸念されるのは、同団体がユーロ離脱の是非を問う国民投票の実施を求めていることだ。イタリアでは従来、国内政治への不信感の裏返しから、欧州連合(EU)への支持が極めて高かった。だが、ユーロ導入以来の経済低迷などを背景に、近年はこうした国民の姿勢に変化が現れている。

独立系調査会社 Pew Research Center が2012年5月に公表した調査結果によれば、イタリアでは「ユーロ導入は悪いこと」と回答した割合が44%と、「良いこと」と回答した割合の30%を上回っている。また、「自国通貨に戻るほうが好ましい」と回答した割合は40%に達し、これはユーロ圏主要国の中で最も高い(表)。ギリシャでユーロ支持派が多いのとは対照的だ。

次ページ選挙で選ばれていないグリッロ氏が命運を左右する
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事