「スペインよ、お前もか!」 高まる欧州リスク 景気・経済観測(欧州)
スペインとイタリアの政情不安が小康状態を保っていた欧州の債務問題に再び影を落としている。スペインでは与党・国民党への献金の一部がラホイ首相を含む党幹部に不正に渡っていたとの疑惑が浮上している。イタリアでは2月24・25日の総選挙を前に、ベルルスコーニ前首相が率いる自由の人民会派が猛烈な追い上げを見せており、上下院で支配政党が異なる“ねじれ議会”に陥る懸念が高まっている。
ECB(欧州中央銀行)による無制限の国債購入が強力な防波堤となり、欧州危機に対する市場の関心はこのところ薄れていたが、政治リスクの再浮上で危機がまだ終わっていないことが改めて浮き彫りとなった。ECBがバズーカ砲を携えて後ろに控えている安心感は大きいものの、両国の政情不安が解消されるまでは金融市場で積極的なリスク・テークが手控えられる可能性があろう。
イタリアの政治情勢については、前回のコラム「ポスト・モンティ体制を巡るローマ人の物語」で紹介したので、今回はスペインの不正献金疑惑とその影響について取り上げたい。
不正献金・裏金疑惑の浮上で高まる政治リスク
一連の騒動はスペインの大手新聞エルパイス紙が1月31日の紙面で、国民党の不正献金および裏金疑惑を報じたことで始まった。記事では、同党の財務担当者だったバルセナス元議員が隠し持っていた自筆の帳簿とされる写真を掲載。帳簿の入金欄には建設業者や関係者とされる名前と金額が、出金欄には同党幹部の名前と金額が、日付とともに記載されている。
帳簿に記録が残っているのは、国民党が初めて政権に就いた翌年の1990年~2008年までの期間で、1994~96年の記録はない。入金欄に記載された金額は国民党への献金額とされ、一部で法定の上限を超える違法な献金が行われていた疑いがあると、記事は指摘する。献金をしたとされる建設業者の中には、別の事件で不正工事受注の疑いが取り沙汰されている名前もあると言う。
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