為替は日本の金融政策で自由に動かせない

円安は安倍バブルでなくユーロ危機一服が原因

円安が続き、株価が上昇している。これは、安倍晋三政権の金融緩和策を市場が予測した結果だと言われることが多い。それを表現する「安倍バブル」といった言葉も生まれている。

確かに、為替レートや株価は、予測が変化するだけでも変化する。これは、本連載の第7回で述べたことだ。しかし、いま生じているのは、そうしたことではないと考えられる。円安をもたらしたのは、国際的な資金の流れの変化だ。

そう考えられる証拠を示す(下図)。ここには、イタリア10年国債利回りとドル/円レートを示した。この二つは見事に相関している。つまり、円安が進行する時期には、日本から投資資金が流出して南欧国債に回帰し、その利回りを引き下げているのである(ドル/円レートを用いるのは、ユーロ圏との資金のやり取りは、イギリスやアメリカを経由している可能性が高いからである)。

詳しく見ると、つぎのとおりだ。イタリア10年国債の利回りは、2011年11月から12年1月までは7%を超える水準だった。しかし、1月初めから急低下し、3月には5%になった。これと並行して円安が進展した。ところがその後再び上昇し、7月には6.3%になった。これが円高の進展と一致している。そこから再び下落し、13年1月には4.1%になっている。これが円安の進行と一致する。利回り低下は、ユーロ危機が一時的にではあるが休止していることの影響だ。

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