ポスト・モンティ体制を巡るローマ人の物語

景気・経済観測(欧州)

米国で“財政の崖”からの転落がひとまず回避され、一息ついたのもつかの間、新たな市場の不安材料となりそうなのがイタリアの政治情勢だ。2月24・25日に総選挙を控えるなか、各政党間で政治的な駆け引きが活発化している。総選挙後の政情不安や改革路線の後退を巡る思惑が、市場の動揺を誘いかねない。

モンティ首相(現・暫定政権首相)が率いる非政治家による実務家(テクノクラート)政権は、2011年11月の発足以来、主要政党の支持を得て、矢継ぎ早の改革を実行し、国際社会から高い信認を得てきた。だが、厳しい財政緊縮と深刻な景気の冷え込みに、国民の間では不満の声も広がっている。

党勢回復の機会をうかがっていたベルルスコーニ前首相が率いる中道右派の“自由の人民”は、モンティ政権への批判を強め、昨年12月には支持撤回を表明した。議会最大会派の支持を失ったモンティ首相は、安定的な政権運営が困難になったと判断し、議会の解散を決断した。

イタリア政局~問われる新政権の改革意欲

欧州債務危機の次の標的と目されてきたイタリアだが、最近では国債利回りの上昇が一服するなど、危機の波及懸念が薄らいでいる。モンティ首相の改革手腕が高く評価されてきたことに加え、昨年7月にドラギECB(欧州中央銀行)総裁が「ユーロ防衛にいかなる措置も辞さない」と発言、9月には金額の上限を設定しない新たな国債購入策(OMT)を発表したことで、危機波及を食い止めている。

ただ、イタリアのプライマリーバランスは黒字基調を保っているものの、公的債務残高の対GDP(国内総生産)比率はユーロ圏でギリシャに次いで高い。硬直的な労働市場、非効率なサービス業や公益企業、脱税や汚職の蔓延、慢性的な低成長など、多くの構造問題を抱えている。

こうした問題には即効薬がなく、モンティ政権下で着手した改革の成果が現れるまでには、財政再建と構造改革での継続的な取り組みが必要になろう。総選挙後に誕生する新たな政権が、改革路線を踏襲するのかどうか、市場参加者は固唾を飲んで見守っている。

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