ドラギ総裁のパクス・ロマーナと欧州の展望 景気・経済観測(欧州)

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

2012年の年の瀬が押し迫るなか、慌ただしい毎日を過ごされている読者も多いだろうが、欧州の政策関係者は一足早く仕事納めを迎えたようだ。

12月13~14日に開かれた欧州首脳会議では、ギリシャ支援再開を正式承認したほか、ユーロ域内の銀行監督の一元化(SSM)の基本構想で合意し、将来の経済・財政・政治統合の強化に向けた工程表を取りまとめた。年内中の合意を目指した課題を終え、今はほっと一息ついている頃ではないか。

ギリシャ政府の資金繰りの問題はとりあえず一服

ギリシャでは、5月の議会選挙、6月の再選挙での改革停滞を受け、12年3月に始まった二次支援プログラムの融資実行が見送られてきた。

だが、ギリシャの経済困窮と社会的な緊張の高まりを受け、支援の提供国側も態度を軟化している。ギリシャが財政緊縮と構造改革の関連法案を議会で可決したことを受け、国債の買い戻しや支援融資の利払い減免などの債務軽減措置を受け入れた。

12月11日に締め切られたギリシャ国債の買い戻し提案には、計画を上回る額面319億ユーロの応募が集まった。これは民間部門の保有する国債の半分超に相当し、買い取り価格との差額である206億ユーロの債務が軽減される。

ギリシャの債務の持続可能性に懐疑的だった国際通貨基金(IMF)も、将来的に追加の債務軽減措置が必要になることを認めながらも、ひとまずは支援再開に応じる構えだ。支援融資の再開でギリシャ政府の資金繰りと銀行の資本不足の問題を巡っては一息つくことになる。

次ページ単一通貨の抱える制度的な欠陥は抱えたまま
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事