ドラギ総裁のパクス・ロマーナと欧州の展望 景気・経済観測(欧州)
13年1月1日までに法制化での合意を目指していた域内の銀行監督一元化については、金融システムへの影響度が大きい150程度の銀行を欧州中央銀行(ECB)が直接の監督下に置くことで合意した。ECBに監督権限が移管されるのは、14年3月1日以降か、根拠法の効力発生から1年後以降の予定だ。
約6000に上る域内の全銀行をECBの監督下に置くことを求める意見もあったが、中小銀行などはこれまで通り各国の監督当局が担うことになる。銀行の資産査定基準を統一するなど監視体制を強化し、銀行の経営悪化を未然に防止することを目指している。
統合へ向けた工程表を作成
危機発生から丸3年が経過し、欧州の信用不安対応もだいぶ形が整ってきたのは事実だ。だが、その多くは市場の安定化や危機の再発防止を目指した施策で、単一通貨圏の抱える制度的な欠陥にメスを入れるものではない。最終的な問題解決には時間が掛かるため、その間の大まかな道標として統合強化に向けた工程表を作成している。
今回の首脳会議で発表された最終案では、13年1~3月期中に欧州安定メカニズム(ESM)から資本不足の銀行への直接資本注入の枠組みについて、同年6月までに銀行の破綻処理制度や預金保護制度の統一基準の作成で合意することを目指している。一方、欧州共同債や予算の一部共有化など、実現までのハードルが高そうな課題の目標期限の設定は行われなかった。
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