「緊縮政策だけがユーロ危機収束の処方箋ではない」−仏モスコヴィシ経済・財務相

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フランスのモスコヴィシ経済・財務相は13日、緊縮一辺倒ではなく、成長にも配慮した経済政策運営が必要との考えを強調した。

14日に閉幕した国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会に出席のため来日していたモスコヴィシ経済相は記者団に対し、「財政赤字削減は不可欠だが、経済成長も雇用創出などに欠かせない」と指摘。「緊縮財政だけが(ユーロ危機)を抜け出る方策ではない」と述べ、成長と財政再建のバランスを取ることが必要との認識を示した。

フランス政府は9月下旬、300億ユーロ規模の2013年予算案を公表。これに関連して、同相は「2013年には財政赤字の対国内総生産(GDP)比率を3%(注:11年末で約5.2%、IMF予測)にする。削減計画の延長も求めておらず、マーケットも同案に対してポジティブに反応した」などと目標達成への自信を示した。

一方、ギリシャの支援をめぐっては、9月13日に同国を訪れた際、「ユーロ圏にとどまることを望む、との友情のメッセージを送った」という。IMF、欧州中央銀行(ECB)、EU(欧州連合)のいわゆる「トロイカ」が現在、ギリシャの債務状況などの確認を行っている段階であり、「トロイカが同国政府と改革について合意に達し、同国監視のメカニズムに進展があるならば、構造的かつ持続可能な解決策を見い出せるだろう」と述べた。

同相はIMFの諮問機関の国際金融通貨委員会(IMFC)が共同声明で、タイムリーな銀行監督の一元化実施を求めたことにも言及。「われわれが最優先すべきなのは決定を実行に移すことだ」と語り、銀行同盟設立などを急ぐべきとの見方を明らかにした。

EUの11カ国が賛成している金融取引税に関しては、「独仏両国のイニシアチブの下で賛成する国が増えたのは、両国だけでなく欧州にとっても大きな成功」などと成果を繰り返し強調。早期導入に強い意欲をにじませた。

日本との関係にも触れ、「(一連の会合などを通じて)EUと日本双方に“自由貿易”を実現しようとの意志があるのを確認することができた」と説明。非関税障壁や公共調達市場へのアクセスの問題などを挙げ、「“自由貿易”は相互に平等なものでなければならない」と述べ、日本側のさらなる市場開放を暗に求めた。
 

(松崎泰弘=東洋経済オンライン)

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