次は3月危機? 燻る「財政の崖」問題 景気・経済観測(米国)
ニューヨークで大晦日のイベントといえば、タイムズスクエアのカウントダウンが有名だ。2013年を迎える今回も国内外から100万人を超える人が集まり、新たな年の門出を祝った。その様子は全世界にテレビ中継されており、総重量1トンにも及ぶ色とりどりの紙吹雪が、タイムズスクエアに舞う映像をみた読者も多いのではないだろうか。
このように世界中が新年のお祝いムードに包まれる中、ニューヨークからおよそ300キロ離れた首都ワシントンでは、ブッシュ減税の失効と歳出の強制削減が重なる、いわゆる「財政の崖」の回避に向けたギリギリの調整が続けられていた。紆余曲折を経て、最終的に崖回避の法案が上下両院で可決されたのは、年が明けた1月1日深夜のことである。
財政再建問題を巡る行方はなお流動的
納税者救済法(American Taxpayer Relief Act of 2012)と名づけられたこの法律は、その名が示す通り、12年末に失効するブッシュ減税の延長に主眼が置かれたものである。実際、年収45万ドル以下の世帯(個人の場合は年収40万ドル以下)に対するブッシュ減税の恒久化が盛り込まれ、納税者の99%が減税失効に伴う増税の恐怖から解放された。
一方、もう1つの焦点である歳出の強制削減については、2カ月間の実施凍結という時限措置にとどめられた。財政再建策に対する民主・共和両党の溝が埋まらない中、ひとまず結論を先送りした格好である。ただ、2月末までに交渉妥結の目途がたっているわけでもなく、急場しのぎの感は否めない。
また時期を同じくして、債務上限の引き上げや暫定予算の延長など、その他の課題に対処する必要があることを考えると、交渉の行方は依然流動的だ。そうした状況を踏まえ、市場では、まだしばらくワシントン(政治)の動向に気を揉む局面が続くとの見方が大勢を占めている。
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