喜劇役者が主役を演じるイタリアの悲劇 景気・経済観測(欧州)

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恐れていたことが現実に……。2月24、25日に総選挙が行われたイタリアでは、大接戦の選挙結果を受けて安定政権の樹立が困難となり、3月15日の新議会召集後の政権運営をめぐって不透明感が増している。

下院では構造改革路線の継続を訴えた民主党を中心とする中道左派連合が勝利を収めた。事前に予想されたとおり、最多票を獲得した党派に割り当てられるボーナス議席に助けられ、過半数の議席を確保した。

一方、地方選出議員で構成される上院では、全体の獲得票率では中道左派連合が他党を上回ったものの、地方州ごとに配分されるボーナス議席を加えた最終的な議席数では過半数に届かなかった。

事前予想では、民主党が単独で過半数の獲得ができない場合も、モンティ首相の再任を目指す中道政党連合(モンティ支持派)と連立を組めば過半数の獲得が可能と目されていた。だが、中道左派連合とモンティ支持派の獲得議席がいずれも事前予想を大きく下回ったことで、そのもくろみが崩れた。

難しい左派・右派の大連立

イタリアでは国政全般をつかさどる首相を国家元首である大統領が指名し、組閣から10日以内に上下両院での内閣信認投票を経て、新政権が発足する。ナポリターノ大統領は15日の議会招集を待って、上下両院で最多票を獲得した民主党のベルサニ書記長(党首)を首相候補に指名するとみられている。

だが、民主党主導の政権が上院で信認されるためには、ベルルスコーニ前首相が率いる「自由の人民」を中心とする中道右派連合か、著名コメディアンのグリッロ氏が率いる新興の政治団体「五つ星運動」の協力が必要となる。

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