資生堂、社長交代のチグハグ 前田会長が兼務で復帰へ、会見を全掲載
前田会長 このたび、末川氏の後を受けて執行役員社長を兼務することになった。2年前、この2人で交代会見に臨んだが、末川氏が就任したときは震災直後、欧州危機のまっただ中、歴史的な円高や長引くデフレ、最近では尖閣問題に端を発する反日デモなど、大変に厳しい経営環境だった。逆風ともいえる中、末川氏には持ち前の高い志と旺盛な改革スピリットを持って取り組んでもらった。
4つの成長戦略をはじめ新たなビジネスモデルの構築、コスト改善や事業構造の見直し、構造改革への取り組みに手腕を奮ってもらった。しかしながら、先ほど本人の弁にもあったとおり、社長として日々の激務が続く中、身体体が悲鳴を上げてきたことを我慢しながら、執務に邁進されておられたことを知った。
自身が進めてこられた新ビジネスモデルの推進や構造改革にも成果が見え始めた矢先での退任は、末川氏にとっても痛恨の極みであったと思う。それは当社にとっても、まったく同じ思い。先月半ばごろ。末川氏から初めて自身の体調不安による進退を含めた相談を受けた。次年度以降も、引き続き陣頭指揮に当たってもらうと思っていたので、大変に驚いた。しかし、社長としての激務を続けることで体調をさらに悪化させてしまう懸念があり、急きょ役員指名諮問委員会において数度にわたり、協議を積み重ね、この問題を協議した。
前田氏「当初はかたく固辞した」
何とか末川氏をサポートして、早急に後継CEOを選出する案など、複数の方策について検討を進める中、先ほど末川氏が申し上げたとおり、当面の間、私が社長を兼務する案の打診を役員指名諮問委員会からいただいた。しかし、私は執行からは退いたとはいえ、厳しい業績が続いていたことに経営を監督する今の立場として、自責の念もあったことに加え、短期間とはいえ、このような人事がステークホルダーの皆さまにもご不安を与えるのではと、当初はかたく固辞をさせていただいた。
しかし、末川氏が先ほど申し上げたもろもろの理由によって、次期CEOを選任するまでの間、私が社長を兼務することで経営責任を果たすべしとした役員指名諮問委員会の結論もあった。末川氏より正式な要請を受け、微力ではあるが会社に恩返しができるのではということで、お引き受けさせていただく決心をした。
改めて社長を兼務するに当たって、私に課せられた最大の任務は、まず停滞感、閉塞感を打ち破り、成長軌道を再び取り戻す道筋をつけることだと考えている。そのためには過去、私自身が進めたことをみずから否定することも厭わずに、相当な覚悟を持って、思い切った手立てを講じていくなど、聖域を設けない大変厳しい改革が必要になるかもしれない。それらの計画の概要等については、早急に提案して決算説明会の場などを通じてあらためてご案内できればと考えている。
もう一つの大きな使命は、後継者を早期に選出して、しっかりと次代に引き継ぐこと。私に与えられた時間は多くはない。スピードを上げて実行していく。お客様、取引先、社員、すべてのステークホルダーからの信頼を得て、この難局を乗り越えたいと思っている。マスコミのみなさまより、ご指導を頂戴できればありがたい。