資生堂、社長交代のチグハグ

前田会長が兼務で復帰へ、会見を全掲載

正直言ってチグハグである。

資生堂は3月11日、末川久幸社長が3月末で退任し、後任として4月から前田新造会長が社長を兼務するトップ人事を発表した。

「2月ごろから体調に不安を感じるようになり、社長の重責を担い続けるのは会社のためにならないと判断した」。同日、東京・汐留の資生堂本社で会見した末川社長は冒頭、こう切り出した。

四半期ごとに業績見通しを下方修正

末川氏は2年前、51歳の若さ(就任時は52歳)で常務から社長に抜擢された。代表権を持って会長に就いた前田氏と二人三脚で、国内事業の強化と海外進出の一段強化を担ってきたが、就任直前に発生した東日本大震災に加えて、欧州債務問題、中国の尖閣諸島問題をめぐる反日デモなどの逆風にさらされ、今年度(2013年3月期)は四半期決算の発表ごとに、業績見通しの下方修正を強いられる苦戦ぶりとなった。末川氏は「現実とのギャップが精神的に重くのしかかった。持ち前の全力疾走で挑むのが難しいと感じた」と、辞任に至った理由を述べた。

チグハグだという印象を受けたのは、前田会長が会見で説明した社長兼務に対するスタンスをめぐってのことだ。健康問題が理由とはいえ、末川氏が社長就任からわずか2年という異例の短期間で交代するという緊急事態。「豊富な経験と強いリーダーシップがあり、経営全体についての理解がある」(末川社長)前田氏がリリーフ登板することは一定程度、理解できる。前田氏は「当面の間、社長を兼務して経営責任を果たし、停滞感や閉塞感を打ち破り成長軌道を再び取り戻す。かなりのスピードで後継を育成していかなければならない」と話した。

かなりのスピード――。1~2年かと思ったらとんでもなかった。前田氏は「社内の内規は4年。ただし4年はあっという間に来てしまう。4年に加えてさらに2年(もありうる)」と答えた。後継者の育成には、今から最長で6年もかかるという説明だった。05年から社長を6年間務めた前田氏が後継候補とにらんで育成してきたのは、末川氏だけでもなかっただろう。前田氏は今からまた最長6年をかけて、また後継者を育成するつもり、と受け止められても仕方がない。

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