資生堂、社長交代のチグハグ 前田会長が兼務で復帰へ、会見を全掲載
ただ、資生堂側はこの発言を会見終了後に、「『基本4年で場合によって2年の延長』という前田会長の会見での発言は(資生堂の)内規の話であり、今回のケースはこれによらない」(資生堂広報)と訂正した。
以下に記者会見のやり取りをすべて掲載する。
現実とのギャップ、重くのしかかった
末川社長 私は2011年4月に社長に就任した際、与えられた在任期間中、常に全力疾走することを自らの信念として課してきた。就任直前は東日本大震災が発生し、厳しい船出となり、その後も予期しない厳しい経営環境を強いられたが、全力疾走で職務に邁進し、山積する経営課題に取り組んできた。
しかしながら、これらの課題を解決し、経営責任を全うしなければならないという強い気持ちと、特に今年度は4半期ごとに業績予想を下方修正せざるをえないという現実とのギャップが、精神的に重くのしかかっていたのも事実。このような状況の中、本年2月ごろから体調に不安を感じるようになった。
現在でも強いリーダーシップを発揮しながら、数多くの経営課題に取り組むという使命感がある一方で、次年度以降の中計経営計画を策定するなど社長として非常に重要な業務を推進するに当たり、体調不良により全力疾走で挑むのが難しいと感じた。そこで今後も私が社長の重責を担い続けるのは、むしろ会社のためにならないと判断して辞任を決めた。
私の退任と後任については、役員指名諮問委員会で数度にわたり、審議を行った。この難局を乗り切るためには、豊富な経験と強いリーダーシップが重要。現在進めている経営改革や全社経営について深く理解をしていること、後継者が十分に育成されていないことなどから、社長経験のある前田会長にもう一度、その手腕を振るっていただくことが最善と判断し、今日の取締役会で承認された。
これまで私を信じて頑張ってくれた社員や関係者のみなさまには大変申し訳なく思っている。このタイミングで前田会長に引き継いでいただくことが、経営者としても最善の選択と考えている。