ビジネスに置き換えて言えば、これまですでに誰かが行ってきた解決パターンやルーティンワークを、高度な正確性でこなしていくことよりも、正確性は担保されていなくてもいいから、自分なりの対処法で解決していく、というスキルが求められているわけです。
「お受験」は親子で挑むプロジェクト
――そうした中で、お子さんの受験にコミットして、最難関国立小学校に合格されましたよね。
ええ。子どもの小学校受験に「お受験パパ」としてかかわりました。そこで感じたのは、社会に出て働いている両親は、受験に活用できるビジネススキルを持っているはずなのに、それを活かし切れていないのはもったいないということです。
それに子どもが幼いうちに、「お受験」という大きなプロジェクトを達成するのは、いい経験になると思います。石川遼君のお父さんが彼をプロゴルファーに育て上げたり、イチローのお父さんがマンツーマンでついて、名選手に育てていくような感じですね。
ですから、模擬試験を受けるときには親子でマンツーマンでしたよ。その際もPDCAサイクルを徹底的に行いました。<注:plan(計画)-do(実行)-check(評価)-act(改善)の循環のこと>計画(P)と実行(A)を行っているマネジャーや親は多くいると思いますが、CとAまで行って、初めて成長に結びつきます。
それに、そもそもP「計画」の段階からかなり無理がある親もいます。小学校受験は実はかなりの分野にまたがっているんです。運動の領域があったり、話の聞き取りの領域があったり、数の領域があったり、常識の領域があったり……。そのすべてで満点を目指す必要はありません。それぞれの領域において、今回は母集団の中でどのくらいのポジションを目指していくのかを決めて試験に臨みます。それが達成された場合は、仮説が合っていたということです。逆に、達成されなかった場合は、何が足りなかったのか、そもそも設定した目標自体に無理があったのではないか、ということを検証します。そうやってプロジェクトは少しずつ前進していくんです。
――なるほど、子どもの受験にPDCAサイクル、合理的ですね。そもそもいつ頃から小学校受験を考えていたのですか?
実は、当初、小学校受験は考えていませんでした。もともと中学受験で勝負しようと思っていましたから、公立小学校へ進学してもよいと思っていました。小学校受験をクリアしても、結局、塾での勉強で学力向上を図らなければなりません。塾に通える環境があればそれでいいと思っていたんです。