佐藤優の教育論「行かせるなら公立?私立?」 『子どもの教養の育て方』特別編(その2)
※ 過去の対談はこちら:
(その1)偏差値を追うと人格が歪む
私立や国立の進学校に入れるメリット
井戸:「受験勉強を通して身に付いた知識は社会人になっても役に立つ」と佐藤さんは常々おっしゃっています。最近は、中学受験で私立や国立を目指す家庭が増えていますが、公立ではなく、私立や国立に入れることについてはどうお考えですか?
佐藤:子どもを私立や国立の附属中学に入れるというのは、今の状況では合理性があるんです。というのも、公立の中学・高校においては、教員養成メカニズムがなかなか大変な状態になっていますから。
教育に関して1つ確実にいえるのは、自分が理解していないことは教えられないということ。公立には、科目が理解できていない先生が少なからずいるのです。それで、そういう先生はどういう指導をするかというと、「ここは強制的に覚えなさい」というやり方になる。説明できないから、つべこべ言わず覚えろという話になります。
井戸:そこで先生の能力を見ることができるんですね。
佐藤:はい。その点、教師の理解力が一般的にいって高いのが、国公立の附属小中高や私立なんです。教師本人が理解しているから、教材研究もきちんとできます。そうすると生徒の理解力も高まる。理解力が高まるから、教室の秩序も維持できる。
教室の秩序が維持できなくなるというのは、子どもが先生の言っていることがわからないからなんですね。だから子どもたちが暴れる。それを威圧で押さえ付けたら、子どもはおとなしくなるかもしれませんが、結果として萎縮するだけです。
井戸:先生のレベルが、普通の公立と、私立や国公立の附属小中高で違うということですね。