そこで、ちょっと試しにお勉強のまね事みたいなのをしてみようと思って、幼稚園の年中から年長に変わる春に、伸芽会というところの模擬試験を受けてみました。
そうしたら、本当に驚かされました。来ている園児がみんなすごく優秀な子どもばかりだったんですよ。すごくトレーニングされてる。「ツー」といえば「カー」と言えるような優秀な子供たちでした。
今後、中学受験というステージでそういう子供たちと戦っていくことを見据えたら、「これは全然かなわない」と感じました。だから遅れてはいられないと思って、小学校受験に備えようと思ったのがきっかけです。
小学校受験では何が問われるか
――小学校受験ではどういうところが合否を左右するのでしょうか。
まずは、「礼儀」を重んじます。ですから、知らない人と会っても、すぐにきちんとあいさつをするような子が評価されますね。
もちろん、勉強面も大切です。特に先程「すごく優秀」と言った子どもたちは、問題の処理スピードが非常に速いんです。例えばあるものを工作しましょうという課題がでます。難関の国立・私立小学校では入試問題でかなり複雑なものを作らせます。紙コップや毛糸、のりなど、材料がずらっと並んでいて、試験官が口頭で工作過程を、幼稚園児にとっては相当なスピードでまくし立てるんです。それを瞬時に理解、暗記して、実際に試験官が指示したものと寸分違わぬものを完成させることができる。それを目にしたときに、「これはスゴい世界だな」と思いました。
――すごい世界ですね……
国語の代わりに、「お話の記憶」という問題があって、ある童話を子どもたちに聞かせます。登場人物も多く登場するし、そのいきさつも複雑なんです。しかもその途中に、季節に関するファクトが入っているんですよ。「葉っぱが赤くて……」とか「柿がなってました……」とか。そうした童話を聞いた後に、「この季節はいつでしょう」といった類推させるような問題や、「この季節にやる行事とは何でしょうか」など、常識力まで求められます。
ほかにも、たまねぎを縦に切った場合と横に切った場合では断面はどう違うか、といった問題や、底面の広いコップと狭いコップでは水が溜まる速さでどのような差が出るかとかも聞かれます。