途方もない廃炉作業、その第一歩が始まった 「事故2年後」の福島第一原発

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今回のハイライトである設備が稼働することは、廃炉に向けて一歩前進であることは間違いない。原発の状況について、高橋所長は「事故直後と比べて発電所内がかなり落ち着いてきた」と指摘する。その理由として高橋氏は、「原子炉冷却のためのバックアップ設備がたくさんできた」ことを挙げた。以前とは異なり、機器に不具合が生じた場合でも、「あわてて水をかけなければならない、ということにはならず、時間的余裕ができた」と説明した。

全国からの激励のメッセージも

そして、もう一つの理由として「作業員の平均的被ばく量の低減」(高橋氏)があるという。がれきの撤去などにより作業箇所の空間線量が低下したことにより、「作業員の平均的被ばく量は月1ミリシーベルトくらいに下がった。年間20ミリシーベルト以下に抑えることができれば、継続的に働ける状態になる」(高橋氏)。福島第一では現在、1日に3000人にのぼる作業員が廃炉作業に従事しており、全国から励ましのメッセージも多く寄せられている(写真右は全国から寄せられた千羽鶴)。廃炉作業の道のりは途方もなく遠いが、現場では懸命の努力が続けられている。

(記事中の写真は日本雑誌協会代表撮影)

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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