途方もない廃炉作業、その第一歩が始まった 「事故2年後」の福島第一原発

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燃料取り出し用カバーについて、原子力規制委員会は、東電から提出された資料に基づき、「構造強度や耐震性に支障はないものと判断する」との評価結果を発表している。東電の資料では、「従来の燃料取り扱いとほぼ同様の構造・設計、安全性を有する設備を用いて、従来とほぼ同様の作業手順・体制にて実施」と書かれており、「燃料取り扱い機に落下防止等の対策を施し、吊り荷を落下させない」(同資料)としている。

さらに「今回扱う冷却が進んだ燃料を仮に落下させた場合、燃料取り出し用カバーおよび換気設備がない条件においても、周辺公衆に著しい放射線被ばくのリスクを与えないことを確認している」(同資料)とも述べている。ただし、「50メートル近い高さからの落下試験は実施しておらず、落ちた場合の詳細なシミュレーションはできていない」(高橋所長)という。

乾式キャスクで長期間保管

前述のように共用プールには現在、6375体の使用済み燃料が存在する。保管容量である6850体の9割以上を占めており、ほぼ満杯に近い。同プールは地下1階に設置された電源設備が津波で浸水したために電源を喪失した。その後、仮設電源を設置して供給を再開したことで、「プール水核種分析データから大部分の使用済み燃料が健全と推定される」と東電は述べているが、津波のリスクは現在も皆無ではない。

いずれにしても、乾式キャスク仮保管設備に使用済み燃料を移し替えることは急務だ。共用プールで一定期間冷却した使用済み燃料を空冷式の乾式キャスクに収納したうえで、同設備で保管する。さらに熱や放射線を遮蔽するために、「コンクリートモジュール」を覆いかぶせる。現在のところ、高台にある仮保管設備での保管は最も安全性が高い方法だが、本来の送り先である青森県六カ所村への搬出が困難であることから、福島第一原発の敷地内に保管され続ける可能性が否定できない。このこと自体は地元との約束に反することにもなりかねない。

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