東電は発電部門を切り離し送電特化で再生を

論争!発送電分離

――高橋 洋・富士通総研 経済研究所主任研究員に聞く

「発送電一貫」「地域独占」「総括原価方式」で特徴づけられる日本の電力システム。より安価で安定的な電力供給を実現するためにはどう改革すべきなのか。さまざまな立場の有識者に意見を聞くシリーズの第5回は、経済産業省の電力システム改革専門委員会の委員で、海外の電力事情にも詳しい富士通総研経済研究所の高橋 洋・主任研究員にインタビューした。

やる気満々のドイツの送電会社、日本進出も準備

――最近、ドイツの発送電分離の実情を調査に行かれたそうですね。

11月後半にドイツへ行き、発送電分離後の実態について調べてきた。ドイツでは発送電一貫の大手電力会社が4社あったが、うち3社が送電部門を売却し、「所有権分離」(他の1社は「法的分離」)を行っている。そのうちの2社で、RWE社の送電部門が所有権分離されて生まれたアンプリオン社と、スウェーデンの電力会社が旧東独の電力会社を買収したバッテンファール社が送電部門を所有権分離してできた50ヘルツ社を訪れた。

両社とも、送電ビジネスはこれからモノになると、やる気満々だった。一つには、地域独占で、総括原価方式でリターンが入り、非常に安定しているからだ。それに、送電事業はつまらないビジネスかというとそうではなく、どうやって多様かつ大量の再生可能エネルギーを統合しながら停電が起きない仕組みを構築していくか、という点で非常にチャレンジングだと話していた。送電設備への投資は送電料金で確実に回収できる。こんなにやりがいがあっておいしいビジネスはないという。

特に50ヘルツ社は積極的で、日本にも是非進出したいと言っていた。50ヘルツは送電網に接続している電力のうち風力発電の割合(kWベース)が約30%と高いが、それでもうまく系統運用しており、気象予測などを含めて高いノウハウを持つ。日本でもこれから風力発電が増えるため、そうしたノウハウをコンサルティング的に売り込みたいということだろう。もし日本のある地域にそうしたノウハウが導入されれば、日本の送電分野でもいい意味での競争が生まれるのではないか。

――送電会社の出資構成はどうなっていますか。

アンプリオンは25%をRWEが引き続き保有、75%を保険会社や投資ファンドなどの投資家グループが保有しているため、実質的に所有権分離と言える。また、50ヘルツは60%をベルギーの国営送電会社が保有、40%を豪州の投資ファンドが保有しており、いずれも非上場だ。ちなみにもう一つの送電会社であるテネットは、オランダの送電会社のテネットが100%保有。法的分離のTransnetBWは、発電も行う親会社のEnBWがほとんどの株式を保有している。EnBWはフランスの電力会社EDFの傘下にあったが、2010年にドイツのBW州に持ち株が売却された。

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