東電は発電部門を切り離し送電特化で再生を

論争!発送電分離

機能分離では送電網への投資が滞る懸念も

――一方、州ごとに体制が違う米国では所有権分離は少ないですね。

米国は「機能分離」の州が多い。米国は日本とも欧州諸国とも違い、国土が広く分権的で、歴史的に電力会社の数が極めて多い。テキサス州だけでも主要な電力会社が3つある。そのため、法的分離では送電部門の広域化が進めにくい。州単位でISO(独立系統運用機関)をつくることにより、州全体の送電部門をまとめて運用することを考えた。こうしたISOを使った機能分離によって、各州内では送電部門の中立化とともに広域化が進んだ。

一方、米国は私的所有権が強く尊重される国であり、政府が市場に介入することを極端に嫌うため、所有権分離はなかなかできないし、所有権分離をしたとしても、それだけでは会社の数が増えるだけで、送電部門の広域化は進まない。

――機能分離によって、所有権分離と同様の効果が上がっていますか。

系統運用機能を取り上げることによって、競争阻害行為はなくなる。また、州内での広域化の効果もまずまずと言えるだろう。ただ、機能分離の場合、電力会社は自ら所有している送電網を運用できず、レンタル料として送電料をもらうだけなので、中長期的に送電会社としてしっかり送電網に投資したり、送電会社同士でM&Aを通じて会社を大きくしたりするといった発想に乏しくなる。

だから欧州の人たちは、所有権と運用権は一致しなければいけないと主張する。法的分離はまだマシだが、機能分離はダメだと。所有権分離であれば、送電網を持っている主体が投資もする。それが大事なんだと強く信じている。米国のやり方は、欧州から見ると中途半端ということになるのだろう。

送電網の中立性を担保するISOの役割が重要

――日本での電力システム改革専門委員会の議論では、機能分離か法的分離という話になっています。

そうだ。私や八田(達夫)先生、大田(弘子)先生は法的分離を支持しているが、松村(敏弘)先生は機能分離がいいと言っており、意見が分かれている。どちらが一方的によくて、どちらが悪いということではない。

ただ、本当は所有権分離がいちばんいいという点では(改革派は)皆一致している。所有と運用が一致したほうが、いろんな齟齬は起きない。ただ私的所有権の問題もある。とりあえず法的分離をしておけば、送電部門にも送電会社としての独立心が芽生え、同じグループの中でも意識が変わってくる可能性がある。そうすれば、将来的な所有権分離につながりやすいのではないか、というのが私の考え方だ。実際、ドイツではそうやって所有権分離まで行っている。

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