東電は発電部門を切り離し送電特化で再生を

論争!発送電分離

アンプリオンの親会社であったRWEに、なぜ送電事業を売却したのかを聞いた。もともと発電事業はハイリスク・ハイリターンの一方、送電事業はローリスク・ローリターンでビジネスの性格が違うことに加え、ドイツの連邦ネットワーク庁が送電網の中立性を担保するために規制強化したことから、保有し続ける意味が薄れたという。さらに財務状況が悪化していたため、送電事業の売却でキャッシュを得て、原発が政策的に抑制される中で再生可能エネルギーによる発電事業へ投資している。

約150の小売り会社を自由に選べ、料金も電源構成も多様

――発送電分離の効果は出ていますか。

発送電分離はもともと競争を促進することに目的があり、確かに送電網は開放され、新規参入者も増えた。と同時にドイツの場合は、再生エネの導入が目的として重要だった。発送電一貫のときには、電力会社はコスト効率の悪い再生エネに投資したがらず、再生エネに接続するための送電網の投資にも消極的だった。ネットワーク庁が発送電分離を進めたことにより、送電会社は送電のことのみ考え、再生エネの接続や送電網の投資に前向きになった。

――電気料金はどうですか。

電気料金は、電力小売りが全面自由化された1998年から2000年にかけて3割程度下がったが、00年からは大幅に上昇し、現在は98年比で1.4倍ぐらいになっている。競争自体は活発化しているが、それを上回るスピードで税金や化石燃料の高騰、FIT(固定買い取り制度)のコストがかさんだためだ。これはドイツでも問題になっているが、だから自由化や発送電分離が失敗だったとは受け止められていない。

確かに発送電分離といっても、消費者というレベルでは直接のメリットは実感しにくいかもしれない。ただ、発送電分離によって競争が進み、再生エネの導入が増えれば、回り回って消費者にメリットとなる。やはり、電力会社や電源の選択肢ができたというのが大きいと思う。

98年以前のドイツは今の日本と同じで、RWEの営業している地域の需要家は、好き嫌いに関係なくRWEしか選べなかった。しかし今は、ネット上の操作だけで150社ぐらいから小売り会社を自由に選べる。電気料金も電源構成も多様だ。原発の電力を使っていない会社もたくさんある。太陽光発電だけの会社を選ぶことも可能だ。もちろん、送電線のうえではどの電気もすべて混じってしまうが、再生エネだけの会社を消費者が選択すれば、再生エネの普及に寄与することになる。

――ドイツ的なやり方は欧州全体でも主流になっていますか。

多くの国で小売りの全面自由化、発送電分離が行われ、主要国はほとんどが所有権分離だ。消費者の選択肢も広がっている。私は12年2月にはスウェーデンへ行き、再生エネ専門の小売り会社もヒアリングしてきた。同国は水力発電が盛んで、水力発電の電力のみなら安いが、風力ならやや高い。消費者は風力がよければ、高くても風力を選ぶ。

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