素人経営国家・ニッポンは衰退する

日銀総裁人事に見る、日本経済低迷の理由

すべてが完璧な伊藤隆敏教授。だが、日銀新総裁には選ばれそうにない

今回の人事で改めて考えさせられたのは、経済学者の地位である。

経済学者とは何なのか。

前回のコラムでは、渡邊博史氏(元財務省財務官)がいかに最適な候補者か、という話をした。経済学者について言えば、伊藤隆敏氏(東京大学教授)以上の最適な候補者はいない。彼も渡邊氏と同様に、麻生政権時の5年前に候補に挙がりながら、国会で同意が得られなかったわけであるから、現在の自民党、安倍・麻生政権にとっては、本来は問題ないはずだ。

伊藤教授は、なぜ選ばれなかったのか

日本のマクロ金融の分野での経済学者で、国際的に通用するのは、伊藤氏だけと言っても過言ではない。とりわけIMFでの勤務経験もあり、副財務官としても活躍し、組織で働く経験もある。副財務官当時は、伊藤氏の学者、IMFエコノミストを中心とした国際金融界における幅広い人脈に、当時の多くの財務官僚も舌を巻いたくらいである。

さらに、金融緩和には積極的であり、もっとも健全な意味で日銀批判をし、インフレターゲットを以前から主張してきた。私とはその点で考え方を異にしているが、これほどまっとうに積極的な金融緩和を主張している論者はいない。米国、日本の学界で現在も活躍、尊敬を集めており、さらに、彼の育てた日本人経済学者も多数に上り、研究者の教育者としてもこれほど日本経済学会に貢献している、この分野の学者はいないといってもいいだろう。

次ページ伊藤教授の実力は折り紙付きなのだが
マーケットの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 岐路に立つ日本の財政
  • 日本人が知らない古典の読み方
  • 賃金・生涯給料ランキング
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
菅新政権が誕生しても<br>「安倍時代」は終わらない

牧原出氏執筆の連載「フォーカス政治」。9月16日に菅新首相が誕生しましたが、施策の基本線は「安倍政権の継承」。惜しまれるように退任し、党内無比の外交経験を持つ安倍前首相は、なお政界に隠然たる影響力を保持しうるとみます。その条件とは。

東洋経済education×ICT