「黒田新総裁」誕生でも、4月は円高ドル安に? 市場動向を読む(為替)

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安倍首相が「こんなはずじゃなかった」とつぶやく局面が訪れるのか(左は甘利 経済再生担当相)

アベノミクスへの期待で円安が進んだ最大の理由は、政治圧力の高まりもあって、日銀がより大胆な金融緩和に踏み切ると市場が考えたからだ。筆者も、長期的な日米金利差とドル円の関係から、95円程度までのドル高円安は価格正常化の動きととらえてきた。長期的にも、日銀が金融緩和を続けるのであれば、FRB(米国連邦準備制度理事会)が金融緩和政策を巻き戻すに伴って、日米間の政策ギャップが拡大し、円安が促されていくと見ている。

市場は追加の金融緩和の可能性をすでに先取り

だが、現在のところ、FRBは2015年半ばまではゼロ金利政策を継続することを宣言している。量的緩和の巻き戻しが始まるのは、早くても2014年半ば以降であろう。日銀は今後も量的緩和の拡充を図っていくと思われるが、相当大胆な追加緩和措置をとらなければ、FRBとの金融緩和ギャップは縮まらない。過去4カ月間で急速に進んだ円安は、日銀による追加の金融緩和の可能性を相当先々の分まで先取りし、織り込んでしまったものと考えられる。

日銀やFRBの量的緩和が為替相場へ与える影響を見るため、ドル円と日米ベースマネー倍率を対比させてみる。ベースマネーとは中央銀行が供給している通貨の総量のことである。確かに両者の間には長期的に見て一定の相関はある。つまり、日銀が供給する円資金の量がより速く増える時には円安が、FRBが供給するドル資金の量がより速く増える時にはドル安が進む傾向が、大雑把にではあるが、確認できる。

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