安倍首相の小学生時代、家庭教師を務めた自民党政調副会長の平沢勝栄氏は「安倍さんはおそらく長期政権を考えている」と言う。
長期政権を意識していると見られる安倍首相は、最初の関門の日米首脳会談をこなして帰国した。2006年9月からの第1次内閣は1年の短命に終わったが、2度目の今回は違う、と首相本人も強く自覚しているに違いない。だが、実は政権を取り巻く状況は驚くほど酷似している。
第一は高支持率の船出だ。前回は「戦後生まれ初の首相」や「清新イメージ」で、今回は「アベノミクス」への期待感で、発足時から高支持率を得て快走中である。第二に2回とも衆議院での与党絶対多数を背負って登場した。第三は「就任直後の参院選を克服すれば長期政権も」という情勢も共通している。
前回も今回も、参院選を乗り切れば、自ら衆議院を解散しない限り、3年間は衆参の選挙がなく、次の自民党総裁選まで3年前後の在任が視野に入る環境だ。前回は参院選で大敗し、退陣となったが、今回はどうか。
前回と今回を比べて、一つだけ大きく異なっている点がある。それは経済状況だ。前回は02年からの「戦後最長の景気拡大」の途中だったが、今回は低迷経済で登場した。
好況時は政策選択の幅が広がり、首相としては腕の見せ所となるが、政策不発や無策に終わると「無能首相」の烙印を押されるから、舵取りが難しい。一方、低迷経済下だと、政策の選択肢は少ないが、逆に効果的な手段は限られているため、迷わずに突き進むという手がある。決断力が問われるが、首相としてはむしろ判断しやすいという面がある。
低迷脱出というここまでの局面では、予行演習済みという「2度目の首相」の持ち味がプラスに働いたが、課題は経済が上昇軌道に乗り、政策選択の幅が広がって、「経済宰相」として腕の見せ所となったときだ。
「生きた経済」への対応と中長期の構造改革の両方で指導力を発揮できなければ、「無能首相」と批判を浴びるだろう。長期政権も幻となる。これからが本番である。
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