痛すぎる、右派政治家の言語感覚

島田雅彦×波頭亮 日本の精神文化のゆくえ(下)

結局、過去の事例を見ても、領土問題の解決を急ごうとすれば、軍事衝突が避けられません。どの国の領土問題を見ても、武力衝突が起こってから、その結果として境界線が引かれるようになるわけです。

尖閣の問題は慎重に対処する必要がありますが、自衛隊を国防軍に格上げしたり、武力衝突も辞さないという強硬な態度で挑発すれば、もし仮に国際調停機関に持ち込まれたとしても、日本が不利な立場に立つ可能性も考えられます。

今は国民的支持が得にくくなっているでしょうが、少し前までは憲法第9条を世界遺産にしようというプランもありました。この発想を敷衍していけば、日本は恒久的な戦争放棄を宣言して、自衛隊の統帥権を国連に差し出す手も考えられます。国際協力隊として人道援助の中心部隊として活動させるのです。

国家主義者には、「それは国家の自殺だ」と言われそうですが、戦争を起こした場合、日本は徹底的に不利な状況に追い込まれることがわかっているのですから、これくらいドラスティックなパフォーマンスを行って憲法第9条の戦争放棄を世界にアピールすることも必要なのではないでしょうか。

波頭:私も賛成です。帝国主義真っ盛りの19世紀初頭、大国の狭間で揺れていたスイスは永世中立を宣言しました。植民地争奪で一触即発の状況のなかで、国の存亡を懸けた重大な決断です。

もし日本が恒久的な戦争放棄と自衛隊の国連編入を成し遂げれば、それこそスイスの永世中立宣言に匹敵するインパクトを世界に与えることができるはずです。

国際協力隊として紛争地域のPKO、あるいは災害復旧救助隊として、さらには工兵隊を使って発展途上国で橋を架けたり、学校を建設したりして日本のプレゼンスを高めていけば、核が持てないなかでかなり有力な自衛手段、国防外交としての機能を持つようになるのではないかと思います。

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