日本はなぜ、極右など右派ばかりなのか 島田雅彦×波頭亮 日本の精神文化のゆくえ(上)

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かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」ともてはやされ、一世を風靡した日本経済の繁栄も今は昔、この15年間、日本だけが成長から取り残されている。個別企業のプレゼンスも国際競争力も低下し、日本経済の影響力はいまや見る影もない。経済ばかりでなく政治も混迷を極めている。2009年に歴史的な政権交代が実現したが、3年間の民主党政権は、大きな失望と混乱と内外に及ぶ幾多の問題を残した。
この混迷が日本流モダニズムの限界であるとするならば、私たちは日本の文化や思想をいま一度検証してみることが必要だろう。日本人の精神性はいかに変化していったのか。今回は、作家の島田雅彦氏とともに考えてみることにしたい。
なお、この対談は総選挙告示前に行われた。その後、日本国民が下した選択と照らしあわせて読んでいただくと、日本人の精神性が向かっている方向がより明確に見えてくるのではないだろうか。

日本に民主主義は、本当に定着したのか

波頭 亮(以下、波頭):政治も経済も萎えてしまっている現状のなか、今の日本にはそれを突き破る力がありません。新しいモデルを構築しなければいけないことは誰もがわかっていますが、それには思想や文化がとても重要になってくる。

政治も経済も、国民の持つ思想や文化以上のものは現れないからです。島田さんは社会の状況を鋭く批判する作品を数多く書かれていますが、島田さんから見て、日本の思想、あるいは文化はどの方向に流れていると思いますか。

島田雅彦(以下、島田):2009年に歴史的な政権交代があったのに、3年後にまた自民党に大政奉還したかに見えますが、実は民主党も隠れ自民党だったと考えると、看板を替えてみただけだったということになります。

議会制民主主義は日本に本当に定着したのかをあらためて考えてみると、表向きはそうだとしても、実際は官僚主導の中国的な民主集中制を取っているんじゃないかと思われます。

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