痛すぎる、右派政治家の言語感覚

島田雅彦×波頭亮 日本の精神文化のゆくえ(下)

島田:う~ん、今の若者は保守的ですね。老い先短いじいさんのほうが、かえって過激です。団塊の世代は、学生運動を経験した世代ですし。

まあ、昔は都心にも石が落ちていましたが、今は投げようにも石が落ちていない(笑)。それは冗談として、大学で4年間のモラトリアムを過ごして、まじめに将来設計を考えている学生は、やはり大企業に就職したがります。

夢を持っていようといまいと、とりあえず安定をめざす。かつての終身雇用に依拠した人生モデルは、若者の間で消えていないですよ。これは右翼の思うつぼです。

波頭:「年収100万円時代になったら革命が起きるだろう」と小沢氏が言ったのは、臨界点に達するまで人はどんどん保守的になって安全志向になる。

そして安全にしがみつく価値がないくらいまでリスクが大きくなって、初めて「こんなんじゃ、やってられない」と石を手にするということで、今はまだ保守化が進むフェーズにあるんでしょうね。

島田:怒りや反発があるにせよ、それが向かう相手が近親憎悪じゃないけど、生活保護をもらっている人なんですね。最低賃金で働いている人は、生活保護をもらってパチンコしている人がいちばん憎い。

むしろ年収1億円の人を攻撃すればいいんだけど、それは雲の上の人なので、まったく相手にならないというか、それがどういう人かという想像力すら働かないんじゃないかと思います。

波頭:日本が沈滞しているこの15年間で富裕層は莫大な減税の恩恵を受けてきましたが、最低賃金レベルの人たちは所得税こそ免除されていますが、消費税の段階的アップで気づかないうちに増税されてきました。

そういう状況にもかかわらず、最低賃金で働く人が生活保護をもらう人を攻撃するというのは、明らかにお上側の分断策に踊らされているということでしょう。

島田:お笑い芸人へのバッシングなど、恣意的に火をつける勢力がいると思います。極端な話、そういうメディアに踊らされる人間が、反中国、反韓国の感情的ナショナリズムに走る。こういう感情的ナショナリズムは、日本ばかりでなく、中国・韓国でも鏡に映したようにそっくりです。

実際、中国のネトウヨ(ネット右翼)は、農民工が多い。働き口を求めて農村部から都会に出てきたものの、非正規雇用で景気が冷え込むと真っ先に首になる。

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