痛すぎる、右派政治家の言語感覚 島田雅彦×波頭亮 日本の精神文化のゆくえ(下)
※対談(上)はこちら
感情的ナショナリズムに走るのは誰か?
島田:もう10年くらい前に『年収300万円時代を生き抜く経済学』(森永卓郎著、光文社)という本が話題になりましたが、いまや年収300万円というのは勝ち組とは言わないまでも、そこそこがんばっている人たちです。
当時、小沢一郎氏が「年収100万円時代になったら革命が起きるだろう」と言っていたのを覚えていますが、まさか本当に年収100万円時代なんてくるはずはないと考えていました。
ところが、正規雇用から漏れて日雇い派遣やフリーターとして生活している人々は、最低賃金も上がらないなか、本当に年収100万円という人が増えているのが現実です。でも、一向に革命が起きる気配はありません。
自分が若者の側にいると思っているわけではありませんが、まだ政党政治に多少の信頼があるならば、選挙に行って投票行動を起こすべきだと思います。しかし、投票行動そのものが無駄なんだという徹底したあきらめが、若い世代から感じられますね。
波頭:こんな表現が成立するのかどうかわかりませんが、若い人たちから政治や政策に対する積極的なニヒリズムを感じます。あんなものに関与すること自体がばからしいと、あきらめというより能動的にばかにしている感じがします。
島田さんは、大学で若い人たちと接する機会も多いと思いますが、小市民的な満足ではなく、大局的な思索をめぐらせている若者はいくらかでもいますか。
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