痛すぎる、右派政治家の言語感覚

島田雅彦×波頭亮 日本の精神文化のゆくえ(下)

ミッドフィルダー向きの国民性

島田:ノルウェーやスウェーデンは、自国に関係しない紛争の調停や平和交渉に積極的にかかわるなど、外交的マンパワーが強いことで知られています。

本来なら、日本もそういう部分で国家的プレゼンスを高めていくべきなのでしょうが、外務省の役人にそれを期待するのは難しい。であれば、憲法上の戦争放棄という規定を現実に合致させるという政策のほうがやりやすいと思う。

宣言してしまえばいいわけですから。右翼はそれを国家の自殺と言うでしょうが、国家を超える原理を持ち出す国家こそ国際的には説得力があるわけで、そのほうが国家存続のための安全策になりうる。

波頭:国家帝国主義的な意識と方法論から抜け出せない、われわれより上の世代の人たちに外交を任せていたら、北欧諸国のようなコーディネーションの外交はできないでしょう。

しかし、30代より若い世代に、これからの日本の外交や国防は、ネットワークのコーディネーターとして、あるいはハブ機能を担うやり方で世界のなかでプレゼンスを取ると言えば、共感を示す人間がかなりいるのではないかと思います。

島田:そういうマンパワーは、能力の高い人が10人とか15人いれば、十分影響力を持つことができますからね。ただ現実問題、今の若い人を見ていると、積極的に外に飛び出していこうという人間が少なくなっているという事実があります。

実際、米国のアイビーリーグの留学生は中国共産党幹部の子弟と韓国の学生ばかりで、日本人留学生の影は非常に薄い。

波頭:島国であることが、内向きの思考を生み出している面は確かにありますし、若者の保守化がそれに輪をかけているのでしょう。しかし、小さな島のなかだけでは、高齢化が進み、産業競争力を失い、下り坂になっていくだけですから、オープンになって外と連携・協調しなければ、態勢を立て直すことはできません。

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