転入組にあえて聞く、「本当は福岡が嫌い?」 「福岡ブラックホール説」には盲点があった
東京の大学を卒業し、8年前に福岡市で就職したというグラフィックデザイナーの女性(30)は「高校生の自転車のスピードが競輪選手並みで、危ない。(以前住んでいた)神奈川県の2倍の速さ」と驚く。
さらに、この女性は「福岡は芸術・文化が足りない」とも。「天神も博多も、グルメとファッションばかりで、女子を狙いすぎ。展覧会やアミューズメントは、むしろ、『漫画ミュージアム』がある北九州市の方が上」と言い切った。
地下鉄のマナーも悪いらしい。印刷関連業の女性は「朝の地下鉄は、車両の出入り口付近だけが混んでいる」と口火を切った。
「みんな自分がすぐに降りたいだけです。だって、車両の奥に行くと、結構、ガラガラですよ」
西新出身の男性も共感した。「東京の地下鉄じゃ、車両の出入り口付近の乗客は、いったんホームに降りて、後ろの人が降りやすいように動線をつくるのが基本。福岡ではほとんどみられず、ムカつく」
聞けば、男性は、25年のサラリーマン人生のうち、東京が19年、福岡が6年の勤務歴。てっきり福岡の“代弁者”だと思っていたが、地下鉄問題では転勤族側の“論客”と化したようだ。
福岡異動は、やっぱり“左遷”なのか…
次は率直なイメージについての質問。
――「福岡転勤」を東京本社はどう位置づけていますか。
これには、印刷関連業の女性が、ためらいながらも東京本社の雰囲気を打ち明けた。
「幹部にとって地方勤務は出世コースの一つです。でも、若手の場合は、少し違うんです」
――どういう意味ですか。
「はい。つまり、その……。東京で活躍できなかったというか、仕事を取れなかったというか、そんな若手は、もう本社にいられないというか、左遷的なというか」
「だって、仕事は東京にいっぱいあるじゃないですか。それなのに契約が取れないなら、もう……。そんな位置づけです」
サラリーマンの厳しい現実に、場の雰囲気が凍りつきそうになった。