転入組にあえて聞く、「本当は福岡が嫌い?」 「福岡ブラックホール説」には盲点があった
中でも、1年半前に東京から転勤してきたというIT会社勤務の男性(38)は「焼き鳥は豚バラがおいしい。東京には福岡ほどなかったし、値段も安い」と、お気に入りの様子だ。
これはよく耳にする内容。相づちを打つ人も多く、会話のエンジンも暖まってきたようだ。
そこで、早速本題に入った。
――本当は福岡が大嫌いな人は。
一瞬、会場が静まり返った。警戒か、様子見か。各自、パイプイスに並んで座る隣の参加者をきょろきょろ見ながら、誰も手を挙げない。時間だけが刻々と過ぎる。
聞き方を変えてみた。
――本当は、福岡に嫌いなところがある人は。
部分否定に切り替えて答えやすくなったのか、今度は、4人が手を挙げた。しかも、西新出身の男性まで。
不満がもう、止まらない
理由を尋ねた。すると、まず2人が「博多弁で心の距離を近づけてくる人が多い」と訴えた。
1人目は印刷関連業で東京本社の福岡支店に勤めて11年という女性(33)が、スーパーで「よく遭遇する」というエピソードを明かした。
「突然、知らないおばさまが近づいてきて『このトマト熟れすぎやね〜』などと同意を求めてくる」という。しかも、近くには店員が。「聞こえないかと緊張した」。
福岡に遊びに来た親の前でも「別のおばさまから声をかけられ、親から『あの人知り合いなの?』と確認されるほど、親しげに近づいてくる」というのだ。
2人目は西新出身の男性。銀行のATMが混んでいると、「一緒に並んでいたおばさまが『あの人遅いね』と同意を求めてくる」という。確かに、先頭にはATMに手間取る利用者が。男性は「どう答えていいか分からなかった」と振り返り、自分の順番が来たとき、「早く終わらせなきゃ、と緊張して手を急いで動かした」と証言した。
「運転が荒い」との声も。これは最近、日本自動車連盟(JAF)の全国意識調査でも指摘された。 ⇒ 交通マナー「悪い」福岡6割 JAFが初の意識調査
訴えたのは残る2人。6年前に転職して大分県から福岡市に来たという広告営業の女性(31)は「タクシーの運転が荒くて乗るのが怖い」。一般の車両も「ウインカーを出さずに車線を変更するドライバーがいる」という。