KITTE博多は、街の「欠点」を熟慮した新名所だ 九州初出店は21店、多言語化はもう当たり前

拡大
縮小
4月21日に開業を迎えた「KITTE博多」。平日で6~7万人、土日祝には10万人が訪れている

昨年10月の国勢調査で、政令指定都市のうち、神戸市を抜いて人口第5位になった福岡市。その勢いに弾みをつけるような新施設が、このところ博多・天神などに続々誕生している。

そのひとつが、先月末に開業を迎えた日本郵便株式会社の商業施設「KITTE博多」だ。九州初出店の店舗を複数備え、休日は館内への入場制限が行われるほどの盛況ぶりを見せている。5月2日には、早くも来場者数が100万人を超えた。

オープン初日は平日、かつ悪天候にもかかわらず、8万5000人を集めた。開店予定時刻の30分前には、すでに約600人が列を作っており、急遽開店を早めたほどだ。「実のところ、晴れたら3万人、雨なら2万人来ていただければと思っていましたが、蓋を開けてびっくり。まさに嬉しい誤算です」と、館長の立原英樹さんは語る。

これまでは「休憩場所」が圧倒的に不足していた

この連載の記事一覧はこちら

日本郵便にとって、今回のKITTEは東京・丸の内に続いて2番目のオープンであり、初の全館商業施設。そのコンセプトは「いい休憩をしよう」というもので、各階にカフェや休憩スペースが設けられているのが特徴だ。

「マーケット調査を行うと、『博多駅は人が集まる場所なのに、休むところが少ない』という声が多く聞かれました。当時はスターバックスも駅周辺の2店舗のみで、天神地区に比べても少なかった。そこで、博多に足りない『休憩場所』を作るというコンセプトで進めました」(立原さん)

博多駅は、山陽・九州新幹線と九州各地へ向かうJRの在来線、地下鉄、さらに市内および中・長距離バスのターミナルを擁する九州随一の交通基点。JRの乗客数だけでも1日当たり13万人を超え、そのほかの交通機関や商業施設の利用者等を含めると、かなりの人が行き交う場所である。

駅ビル「JR博多シティ」も買い物客や鉄道利用者、観光客など多くの人で賑わい、ビル内に数店舗あるカフェはつねにほぼ満席。席待ちの行列ができることも少なくない。たしかに休憩できる場所は十分とは言えない状態だった。

次ページ意外とたくさんあった「博多に足りないもの」
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT