転入組にあえて聞く、「本当は福岡が嫌い?」 「福岡ブラックホール説」には盲点があった
さらに、転勤を告げられた若手の反応は――。「何年かしたら(東京に)戻れるんですよね」。“往復切符”を手に入れようと懸命に上司にすがる。
「数字が人格」「売り上げ至上主義」。業績がものを言う営業マンの世界を目の当たりにして、胃が痛くなる話だった。
ブラックホールに吸引か
結局、福岡は、日本の西の地方都市なのか……。そんな寂しさが会場を包みかけたときだった。「嫌いなところ」を聞かれても、手を挙げず、沈黙を守った2人の男性が、語り始めた。
IT会社に勤務する男性(41)は、7月で福岡勤務歴が丸3年。当初は2年の“往復切符”だったのに、「帰ってこい」との本社の命にも従わず、「帰りたくない」と、ずるずる勤務を伸ばしているという。
理由は「ホークスがあるから」。西新に住んだのも、「ドームが近いから。ずっと試合を見ていたい」。もう1人は「豚バラ好き」の男性(38)だ。「立ち飲み屋が好き。もう福岡がいい」と出ていくつもりはなさそう。
「まさか遊び優先で?」という周囲の冷たい目線を察知したのか、ホークス好きの男性は「目標は福岡で日本一の営業マンになること」と切り返してきた。でも、この2人は、確実に「ブラックホール福岡」に吸い込まれていると言えるだろう。
開始から2時間。最後の質問に突入した。西新出身の男性を除いて、福岡では「アウェー」の5人に共通するある事実について、である。
それは――。鹿児島市、大分県中津市、長崎県佐世保市、熊本県人吉市……。なんと、集まった転入者全員が、もともと九州出身だった。佐世保市は偶然、2人もいた。
東京出身者にも複数参加を呼び掛けたが、キャンセルが相次いだのだ。