またビートたけし氏は「結婚した男2人が子ども育てるっていうけど、その子どもはどういう風になっていくんでしょうね。お前のお母さんはお父さん? とか言われんじゃないの」と発言、それに対して渡辺えり子さんが「そうならないように皆がやっていけばいいんじゃないですか。愛をもって育てれば同じゃないですか? 同性婚も異性婚も」と反論しました。
このたけし、渡辺両氏の発言はLGBTのコミニュティーを中心に反発を呼び、レズビアン&ゲイカルチャー、LGBTコミュニティに貢献した人に送られる「Alfa Romeo Presents Tokyo Super Star Awards 2012」で、渡辺さんのLGBTと連帯する考え方に多くの人が心を動かされたとして渡辺さんが特別賞を受賞しています。
ディズニーランド内での挙式が可能に
ポジティブなニュースもあります。東京ディズニーリゾート(TDR)が同性間の挙式を受け入れると決定、今年春には、レズビアンのカップルである、性的少数者(セクシャルマイノリティー)の支援活動をする東小雪さんとパートナーのひろこさんが、東京ディズニーシーのホテルで挙式することを決めました。元宝塚で、レズビアンとしてカミングアウトしている東さんは、昨年TDRに対して、同性のカップルも挙式が可能か問い合わせしました。TDRは、「男女に見える格好なら」と当初回答、一部で非難が続出しました。
その後の、東小雪さんのブログによると、「再度社内と、米国ウォルトディズニーカンパニーに確認して、こちらの回答を正式回答とさせていただきます。」という断りとともに、「お客様のご希望のご衣裳、ウエディングドレス*ウエディングドレスで結婚式を挙げていただきます。(途中省略)ただしキリスト教式(チャペル)での挙式は、教義上の理由からご利用できません。挙式は『人前式』のみのご利用となります。前回の「同性カップルの場合一方が男性に見える格好で、もう一方が女性に見える格好でないと結婚式ができないという回答は、社内での認識が不完全だったこともあり、間違った案内をしていました。」という知らせがきたようです。
ただし、このように結婚式を行うことができても、日本ではLGBTのカップルに何の保障もありません。前回の連載で述べたように、パートナーの最期に病院での立ち会いを婚姻関係がないとして拒否されるということもあるようです。
生殖能力の有無が「父」の別れ目?
また現行法の中で、正式に婚姻関係を持っている場合でも問題が起きています。2月2日の朝日新聞には「性同一障害で女性から男性に性別を変えた30代の夫とその妻が1日、第三者の精子を使った人工授精で妻が生んだ男児(3)を、嫡出子(=婚内子)として戸籍に記載するように求める家事審判を中部地方の家裁に申し立てました。自治体がいったん嫡出子として受理したのに、後から職権で非摘出子(婚外子)に変更したのは不当だ、と主張している」という記事がありました。
もともと出生届が受理された際には、「父」の欄に夫の名前が記載された戸籍が作成されたのに、3年近くたって自治体が勝手に「夫に生殖能力がない」として、「父」の欄を空白に訂正、このためこの男児は非摘出子になったということです。そもそも夫に生殖能力があるかないかで「父」であるかどうか決めるという判断にびっくりしてしまいます。
もちろん生殖能力がない男性は、この方だけではないはずです。また、性同一性障害者特例法で性別の取り扱い変更が認められている中で、行政が勝手に父親の名前を空欄にすることができるとのか疑問である事など、このケースを見ると日本の法律の未整備や社会のLGBTの婚姻に対する無理解が、問題を生んでいることがわかります。